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全国平均で七分十八秒−。昨年一−十一月に全国の警察が受理した一一〇番通報に対し、パトカーなどの警察官が現場に到着するまでに要した時間である。
警察庁の一九七二年以降の記録では、過去最悪になった。八〇年代より二分近く遅くなり、過去三年間で一分以上遅くなっている。
警察庁によると、昨年一−十一月の一一〇番通報は約八百四十九万件で、過去最多だった。携帯電話など移動電話からの通報は年々増え、昨年は約四百六十三万件で全体の54・5%にのぼる。固定電話からの通報を上回った。
事故や事件に遭遇・目撃した人が携帯電話から通報した場合、気が動転したり、地理に不案内なため、場所の説明に手間取ることが多いのが主な原因だと、警察庁はみている。
一一〇番などの緊急通報は一刻を争う事態が多い。現場到着が遅れると、負傷者の救助や捜査の初動に大きな支障が出る。
一つの案は衛星利用測位システム(GPS)の活用だ。携帯電話の発信位置を警察などで素早く特定するシステムを導入することによって、一秒でも早く現場到着できる。
米国では携帯電話の発信位置が分かるような付加機能を事業者に義務づけて、二〇〇五年度中の利用端末95%実用化を目指している。設備投資コストなどが課題だが、一部の州では加入者から利用料を徴収し、事業者に設備投資の補助金を出している。参考にしたい。
日本では総務省情報通信審議会が昨秋から、携帯電話の発信位置特定の技術研究を始めた。六月ごろの答申を目指しているが、警察、消防などの関係機関は事業者の協力を得て実用化を早めるよう要望する。
実用化に向けては、個人情報保護への配慮も指摘したい。旧郵政省の告示だと位置情報の提供には本人の同意が必要となる。利用者への負担が少なくて済むような工夫を望みたい。
利用者の協力も必要だ。一一〇番通報の四件に一件が緊急性のない内容である。警察への相談専用電話「#九一一〇番」を活用したい。
犯罪対策閣僚会議が年末に「平穏な暮らしを脅かす、身近な犯罪の抑止」を重点課題に挙げた。一一〇番通報体制を整えることは、その一環にもなる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040202/col_____sha_____003.shtml