2004年02月02日(月) 15時06分
<上限超え利息>「過払い」で武富士けん制 返還金上乗せ判決(毎日新聞)
利息制限法の上限金利(15〜20%)を超える利息を支払った借り手が、消費者金融大手「武富士」(東京都新宿区)に過払い分の返還を求めた訴訟で、従来より高額の返金を命じる判決が、昨年6〜12月、東京、京都の両地裁で6件言い渡されていることが分かった。過払い金に年5%の利息を上乗せして返還を命じる内容で、原告側の弁護士は「武富士に限らず、長期間にわたり不当な利息を取り続ける金融業者へのけん制になる」と評価している。
利息制限法の上限を上回る利息の請求は違法だが、貸金業法は、業者が利率などを記載した法律上必要な書面を借り手に交付し、自由意思によって返済を受けている場合、上限を超える利息の受領を例外的に認めている。「みなし弁済」と呼ばれる制度だが、6件の訴訟の判決は「武富士は必要な書類を交付した事実を立証していない」などと同制度の適用を認めず、上限金利を超える過払い金を返還すべきだと指摘した。
さらに、不当な利得と知っていた場合、利息もつけて返還することを義務づけた民法の「悪意の受益者」を適用できるかどうかを検討。「最高裁などで適切な書面を交付しないとみなし弁済を受けられない、という判決が出ていたのに、こうした書面を発行しなかったのだから、武富士は悪意の受益者」(昨年11月の東京地裁判決)などと認定した。
その結果、これまで提訴時点(訴状送達の翌日)からしか認められなかった年5%の金利が、過払い状態になった時点にさかのぼって上乗せされたため、武富士は従来より数万〜約125万円多い返金を命じられ、6件のうち4件は武富士が控訴せず確定した。
6件のうち5件で代理人を務めた内藤満弁護士によると、東京地裁は00年11月、武富士を悪意の受益者と認定する初めての判決を言い渡した。しかしそれ以降、同種の判決はほとんどなかったという。
内藤弁護士は「司法判断が定着しつつある。過払いを放置し続けると、返金額がふくらむことになり、貸金業者に方針転換を促し、借り手を保護する意義深い判決だ」と話している。【小林直】
◇「書面に問題ない」
武富士広報部の話 顧客に提供してきた書面には問題がないと考えている。証拠を集めて立証しなかったから敗訴した訴訟もあり、敗訴したからといって、改善すべき点があるわけではない。(4件で控訴しなかったのは)今後の指針となる可能性がある案件だけを選んで控訴しているためだ。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040202-00001061-mai-soci