2004年01月31日(土) 14時00分
京でも「クローン携帯」 通信料の高額請求 苦情急増(京都新聞)
7万円を超える請求書とパケット通信の明細書。「クローン携帯は存在しない」と携帯電話会社は主張している
|
身に覚えのない高額な通信料金を携帯電話会社から請求されるトラブルが全国各地で問題となっている。同じ電話番号を持ついわゆる「クローン携帯」の存在が疑われているが、携帯電話各社は「技術的に製造は不可能」と主張している。実態がよく分からないまま高額料金を支払った京都市内の利用者を取材した。
「7万円…」。左京区の公務員(36)は、中学生の長男(13)が使った1カ月分の携帯料金の請求書を見て凍りついた。前月まで5000円前後だったのが、一気に10倍以上に。明細を取り寄せると大半がメールに使用されるパケット通信代だった。息子が使っていないという日も膨大な通信量が発生しており、携帯電話の販売店に抗議した。
公務員は「解約手続き中にも2000円分の通信が発生した。詳しい通信記録は『出せない』の1点張り。料金は自動引き落としのため戻らない。『クローン携帯かも』と店員の1人もつぶやいた」と戸惑い気味に話す。
「自社製品に存在しない」。クローン携帯の「うわさ」をホームページで打ち消すNTTドコモ関西は「苦情はゼロではないが、極めて複雑で高度なセキュリティー対策がある」(広報室)。KDDIなど他社も「あり得ない」(広報担当)と声をそろえた。
総務省によると、クローン携帯を疑った高額請求の苦情相談は昨年3月に初めてあり、11月末までに電気通信消費者相談センターなど関係機関に46件寄せられた。大阪弁護士会で昨年19件の電話相談を受けた檀俊光弁護士は「クローン携帯か分からないが、課金ミスやシステムの不具合など何らかの問題があるのは事実。携帯会社は実態調査や情報開示に努めるべき」と指摘する。
「携帯電話のクローン作ります」−。インターネット上にこんな宣伝を出す業者は「メモリーのクローンを作っているだけで携帯本体のクローンを作る訳ではない」。ホームページでクローン携帯対策を紹介する香川県の盗聴対策業者は「米国など1時社会問題化した国もある。国防総省のコンピューターにハッカーが侵入する時代、日本だけ万全と断言できるのか。危機管理意識が希薄では」と言う。
相談急増を受け、情報分野の消費者問題に取り組む民主党議員が昨年秋の特別国会で取り上げたが、国は「現時点で存在や被害は実証されていない。被害救済の回答も困難」としている。業界側も時間毎の利用明細発行や、料金を知らせるサービスで対応するが、請求撤回や全額返金は応じていない。
「大容量のデータ通信のせいでは」との見方もあるが、実態はまだ不明だ。メール利用者はトラブル予防のためにも明細書のこまめな点検が欠かせない。業界も料金が高額化した場合の通知や、真相解明に努めるべきだろう。大阪のNPO法人「日本情報保全協会」=Tel:06(6946)7236=が相談に応じている。(京都新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040131-00000068-kyt-l26