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分析したのは、国立保健医療科学院(埼玉県和光市)の長谷川敏彦・政策科学部長を中心とする厚労省の研究班。
約五千五百の病院と、その患者約十万人につき、病院の手術件数と、結果(患者の九十日以内の死亡率と、五年後の生存率)の統計学的な相関を調べた。対象は胃、肺など十五部位のがんと虚血性心疾患、脳卒中。
その結果は別表。がんでは手術件数の多い病院ほど、十二の部位で五年生存率が高まり、九部位で九十日死亡率が下がる傾向が見られた。特に胃がんでは、この傾向が顕著で、逆にまったく傾向が見られなかったのは胆のうがんだった。
虚血性心疾患と脳卒中でも九十日死亡率が下がる傾向が見られた(五年生存率は基となるデータがないため分析せず)。
長谷川部長は「病院の経験が多いほど、患者の死亡率が下がると強く示唆される」と解説。「病院によって患者に提供される医療の質が不均等であることを初めて証明できた」と成果を語る。
では、この結果を医療を受ける私たちは、どう受け止めればいいのか。医師・ジャーナリストの富家孝さんは「従来からいわれてきたことだが、具体的なデータで裏付けられたのは価値がある」と評価。「これまで日本人は病院を厳密に選ばずに『お任せ医療』に甘んじてきたことの方が異常。これからは患者が自己責任で病院を選ぶ時代で、命を守るためには、自分でいい病院を選ばなくちゃ。また病院も情報開示は当たり前で、手術件数を明かさないような病院は問題外」と話す。
また医療ジャーナリストで「セカンドオピニオンを推進させる会」代表の中村康生さんは、手術後についても「例えば抗がん剤を選択する際、こなした件数が多いほど経験則に基づいて、より適切な判断が可能になるはず」と解説。現在でも病院の手術件数が明示されている二冊の“参考書”を紹介してくれた。
■90日死亡率が低くなる傾向があった病気■
食道、胃、結腸、直腸、肝臓、肺、ぼうこう、腎臓、甲状腺の9部位のがん。虚血性心疾患、脳卒中
■5年生存率が高まる傾向があった病気■
(★印は90日死亡率の改善と重なるがん)
★食道、★胃、★結腸、★肝臓、すい臓、★肺、乳、子宮、卵巣、前立腺、★ぼうこう、★甲状腺の12部位のがん
<研究に使ったデータ>厚労省が3年に1度実施する全国患者調査や自治体が行った地域がん登録、医師でつくる胃がん研究会が持つ資料など7種。
<分析方法>「ロジスティック回帰分析」。これは患者の死亡や生存という「結果」に影響を与えるとみられる年齢、病院設備など複数の要素から「病院の手術件数」以外の影響を排除する方法。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040131/ftu_____kur_____000.shtml