2004年01月30日(金) 03時14分
<NPO法人悪用>暴力団、恐喝などで隠れみのに使う(毎日新聞)
NPO(非営利組織)法人「消費者問題研究会」(東京都中央区)による企業恐喝事件は、同会がNPO法人を隠れみのにした企業恐喝団体だったことを浮き彫りにした。NPO法人に絡む事件は各地で相次ぎ、警視庁組織犯罪対策3課は、同研究会と同様な活動をしている複数のNPO法人の存在を確認している。内閣府は初のNPO認証取り消しに向けて、2月に同研究会の聴聞会を開く準備を進めているが、今回の事件は制度の盲点を露出した格好だ。
阪神大震災などでボランティア活動への関心が高まったのを契機に、98年12月、内閣府が所管するNPO法(特定非営利活動促進法)が施行された。認証を受けると登記ができ、金融機関の融資が受けられる。NPO法人は昨年9月末時点で全国で約1万3250団体が認証を受けた。
しかし、NPO法人に絡む事件は01年ごろから後を絶たず、警察当局は▽岡山県で公共工事の下請け参入をめぐり発注側を脅したNPO法人幹部と暴力団幹部らを逮捕(02年2月)▽兵庫県でテレクラ業者がNPO法人を隠れみのに違法営業していたとして逮捕(02年3月)——などを摘発した。
今回、準大手ゼネコン「長谷工コーポレーション」から3000万円を脅し取った同会会長、榎原一吉容疑者(55)は、稲川会系の元暴力団組員だった。同社が建設したマンション用地に「ひ素が埋まっている」などと脅し、賛助金名目で金銭を要求した。榎原容疑者は昨年11月、千葉県内の宅地造成会社からも現金300万円を脅し取った容疑で逮捕されていた。
捜査幹部は「ボランティア活動などを名目にしているNPO法人からの申し出となると、企業が要求を断りにくいという心理を利用した手口だ。実態は企業恐喝団体だ」と指摘する。
NPO法は営利を目的としないほか、役員が暴力団組員であったり、暴力団の配下にある団体などは認められないと規定されている。しかし、榎原容疑者は実質的に同会を取り仕切っていたが役員として登記していなかったため、同会は01年3月に認証された。
昨年5月に改正された同法では、暴力団を排除する措置が盛り込まれ、内閣府が役員や関係者か暴力団員かどうかを警察に照会できるように審査が強化された。【立山清也、三木陽介】(毎日新聞)
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