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日本社会では、一般の人は何ごとにつけお上に決めてもらうのを待って傍観する雰囲気が強い。だが、国民から無作為抽出された裁判員と裁判官が一緒に裁判する裁判員制度では、有罪か無罪か、有罪とすれば量刑をどうするか、参加者は自分の意見を表明することが求められる。
この制度が定着すれば司法以外の分野にも影響を与え、日本人の社会に対する意識を変えて、民主主義の変革につながる可能性がある。
グループとしての判断を普遍的なものにするには多様な人々の参加が望ましい。自民、公明の与党合意を経て司法制度改革推進本部の検討会で決まった「骨格」である、裁判官三人と国民六人という合議体構成は合格ラインすれすれだろう。これで決まりというのではなく、将来の拡大を念頭に置き実績を重ねたい。
裁判官一人と国民四人による合議体を設けて選択肢を広げたり、裁判員資格を当初、検討会で有力だった二十五歳から二十歳に下げ、検察官手持ち証拠の開示範囲を必ずしも十分ではないが広げるなど、「骨格」には評価できるところが多い。
ただし、さらに重要なのはこれからの細部設計である。裁判員の数だけに目を奪われることなく、国民が参加しやすい条件を整えないと、裁判員の多様性は確保できない。
まず裁判員を務めるための欠勤を企業などが不利益扱いすることを絶対に禁止すべきだ。多忙な人でも参加できるよう、本人の都合がつく日に務めてもらえる制度にすることも必要である。
小さな子どものいる裁判員のために裁判所に託児室を用意し、身体が不自由な人のための施設、介助要員を確保するなど支援体制を十分整えなければならない。
審理、立証方法の工夫で裁判にかかる時間を短縮するのは大前提だ。午前十時でなければ法廷が開かれない裁判所の常識を一般社会に合わせたり、逆に土曜日や夜間の開廷も検討したい。
国民負担の重さを口実に制度を消極的にとらえるのは本末転倒だ。社会の主役としての権利を行使し、責任を果たすための負担をどうやって軽減するか、という角度で制度設計しなければならない。さまざまな人の要望を法案づくりや国会審議に反映させて、多くの国民が参加しやすい制度をつくり上げるべきだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040130/col_____sha_____003.shtml