2004年01月29日(木) 00時00分
「認識の甘さあった」20校が提供予定記者会見で大学合否情報の無断提供問題について話す西堀末治・県教育長=県庁で(朝日新聞・)
八日市高校などが大学の合否情報を卒業生らの同意なしに予備校などへ提供していた問題で、県教委の西堀末治教育長は28日、定例記者会見で「同意を求める手続きが不十分だったと反省している」などと釈明した。一方、県立高校の教員らには「受験のために必要な情報」との認識もあり、県教委が全校調査した結果、今春も20校が生徒の同意を得たうえで合否情報の提供を予定しているという。
会見で西堀教育長は、この問題の発覚当初、八日市高校以外の実施状況を調査しなかったことについて「対応が不十分だった」と述べた。無断提供が県個人情報保護条例に違反すると指摘された点は「認識の甘さがあった」としたが、違反かどうかは明言を避けた。また、情報提供の見返りに「手数料」として予備校側から高校が現金などを受け取っていたことには「進路指導のために使われたとは聞いていたが、大変不明確なことで、今後は受け取らないことにしていきたい」と述べた。
一方、予備校などの情報を進学指導の資料に使う高校が多いことについては「現実問題として、生徒も保護者も合否の可能性を示す情報を求めている。学校長もそれに応える方法として、これを利用しようと考えており、やむを得ないのではないか」と話した。
会見では、県教委学校教育課が県内の全県立高校48校(全日制、定時制、通信制を含む)を対象に27日から調査した結果の一部も報告された。今春も20校が情報提供する予定で、別の2校も提供を検討中という。いずれも生徒の同意を取る方針だ。これまでに無断で情報提供したことがあるかどうかについては、2月初めをめどに調査結果をまとめ、公表する。
また、八日市高校に対しては、情報提供した年度や予備校側から受領した金額などを詳しく調べるよう指示した。
受領「適切でなかった」予備校から現金や図書券 朝日新聞社の調べで、八日市高校を除き少なくとも11校が同意なしに合否情報を提供し、うち8校が予備校側から現金や図書券を受け取っていたが、回答した高校側はいずれも無断提供と金銭の受領に関しては「適切でなかった」と認めた。しかし、「進路情報は予備校に頼らざるを得ない」との意見が多数を占めた。
ある高校の教頭は「近隣の大学だと合格圏の予想もできるが、今の生徒の受験校は全国に広がっている。全国的なデータを集めるには学校では限界がある。充実した進路指導のためには、予備校に頼らざるを得ないのが現状だ」と打ち明ける。
生徒の同意を得たうえで情報提供しているという高校の教頭は「提供したデータは、残された後輩が入試を受けるとき、大きな役に立つ。現行の入試制度に変動がない限り、高校と予備校の関係は続く」と話した。
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http://mytown.asahi.com/shiga/news01.asp?kiji=3707
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