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司法制度改革の柱とされた裁判員制度は合議体の人数構成をめぐり政府・与党内で調整が難航していた。法案が成立すれば4年前後の周知期間を経て実施され、市民の司法参加が実現する。
推進本部によると、裁判員制度の対象事件は全国で2800件程度になる見込みで、補充裁判員も含め年間約12万4000人が裁判員候補になる計算だ。
原案は26日にまとまった与党案を踏襲。裁判員らは公務員と同様、職務上の秘密全般に守秘義務を負い、違反した場合は懲役か罰金。
審理中の裁判員に事件に関して接触することは禁止。ただし罰則はない。任務を終えた元裁判員には守秘義務に触れない限り接触可能とした。
推進本部が昨年3月に公表した「たたき台」には、報道を含め「裁判員に偏見を与える行為」を禁止する規定が盛り込まれていたが全面削除した。
合議体の人数構成は原則「職業裁判官3人、市民の裁判員6人」、被告が争わない事件では「裁判官1人、裁判員4人」も可能とした。
導入対象は(1)法定刑が死刑か無期の懲役・禁固の罪(2)裁判官3人で審理する法定合議事件のうち故意の犯罪行為で被害者を死亡させた罪−のいずれかに当たる事件。暴力団が絡む事件など裁判員の生命や身体、財産に危害が及ぶ恐れがある場合は除外する。
裁判員の要件は、選挙権を有する20歳以上。病気や介護などの理由が裁判所に認められれば辞退できる。
推進本部は、裁判員制度の原案公表に合わせて、制度導入に伴う裁判の迅速化と検察審査会の権限強化の概要についても原案を明らかにした。
■司法制度改革 国際化が進む中で明確なルールと自己責任原則に基づく社会に転換するための司法の基盤整備。司法制度改革審議会が2001年6月に意見書をまとめた。首相を本部長とする司法制度改革推進本部が法整備を図る役割を担う。今国会には、裁判員制度のほか特許権侵害をめぐる訴訟を扱う知的財産高等裁判所や、全国で法律サービスの拠点を整備する司法ネット、労働審判制度の新設などの関連法案が提出される予定。02年11月には新たな法曹養成の中核機関となる法科大学院制度を導入する法律が成立している。
裁判員制度の政府原案が29日公表された。一般市民が殺人などの重大事件で裁判官を務めることになる。市民はどんな手順で評決を出すのか。原案に沿って、大学を卒業したばかりの23歳の会社員Aさんのケースを想定してみた。(〈 〉内は原案の規定)
Aさんは昨春大学を卒業した新人サラリーマン。ある日、裁判所から「裁判員の候補者に選ばれたので来てください」との手紙が突然、届いた。
〈裁判員は選挙人名簿からくじで選ばれる〉
興味はあったが仕事を覚えるのに必死で、今回は遠慮したい。しかし、会社員の場合「忙しい」だけでは断れない。会社のキーパーソンでなければ辞退できないと言われた。
〈事業に著しい損害が生じる恐れがある場合は辞退できる〉
Aさんが地裁に出向くと、他に三十数人の候補者が呼ばれていた。裁判官から資格の有無などを質問され、結局、Aさんら6人が裁判員に選ばれた。
初公判の日。法廷の裁判官席に裁判官3人、裁判員6人の計9人がずらりと並んだ。
〈合議体は原則、裁判官3人、裁判員6人〉
被告は、口論の末に仕事仲間を包丁で刺殺したとされる男性。殺意を否認している。目撃者や鑑定人らの証人尋問などが行われた。
〈対象事件は死刑または無期の懲役・禁固に当たる罪の事件など〉
閉廷後、9人は別室で評議。各裁判員や裁判官がそれぞれ意見を言う。難しい法律用語や過去の判例は、必要に応じて裁判官から説明を受けた。
公判は4日で結審。評決の結果、殺人罪で懲役9年となった。
〈できる限り連日開廷、継続して審理〉
裁判員の任務を終え、ひと息ついたAさん。しかし、評議で誰がどんな意見を言ったのか、有罪の結論は何人対何人で決まったのかなどは「守秘義務」に当たる。友人や家族にも一切話してはいけない。違反すれば懲役刑か罰金刑だ。気の抜けない日が続く。
〈裁判員や元裁判員は、職務上の秘密を漏らしたり、事実認定や量刑に関する意見を他人に述べたときは懲役か罰金〉