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2004年01月28日(水) 18時53分

武富士、「批判封じ」から転換 前会長起訴で和解打診も朝日新聞

 消費者金融大手「武富士」(東京都新宿区)が、同社の批判記事を掲載した出版社やジャーナリストらに対する名誉棄損訴訟の一部について、取り下げや和解を申し入れていることがわかった。一連の盗聴事件で前会長の武井保雄被告(74)が盗聴の指示を認め、電気通信事業法違反罪で起訴されたのを機に、批判には訴訟で対抗してきた方針を転換しつつあるようだ。

 関係者によると、批判記事をめぐって武富士が起こした損害賠償訴訟は、02年秋に盗聴問題が発覚して以降、東京地裁分の主な訴訟だけで8件ある。請求額は1100万〜2億円と、この種の訴訟としては高額だ。

 さらに同社はホームページで「(盗聴問題は)元社員の個人の行為」と主張。「今後も事実無根の報道やいわれなき誹謗(ひぼう)・中傷により名誉・信用毀損(きそん)された場合は毅然(きぜん)とした態度で臨む」と強気の姿勢を見せていた。

 広報部門にいた元社員は「株価に影響するので批判記事には敏感だった。高額な訴訟で批判を封じ込める狙いがあったのだろう」と指摘する。

 ところが、武井前会長が盗聴事件で昨年12月に逮捕された以降、ジャーナリスト山岡俊介さんらが盗聴などを指摘した月刊「創」の記事や、別のジャーナリストが警視庁との癒着を報じた「週刊プレイボーイ」の記事などをめぐる訴訟などで、原告の武富士側が訴訟取り下げの意思を示したり、ジャーナリスト側の反訴に和解を申し入れたりした。

 山岡さんによると、打診があったのは今月初め。「武井前会長の刑事事件への影響を考え、盗聴の被害者である自分とは早急に和解したいのだろう」と話す。

 武富士側は、山岡さんが名誉棄損で反訴したことに対しても損害賠償に応じる意向を示しているという。これに対し、山岡さんは、武富士が会社として盗聴にかかわったことを認め、全面的に謝罪することを求める意向で、和解がまとまるかどうかは不透明だ。

 武富士広報部は「訴訟については全般的に見直しておりますが、相手方のこともあり、今のところコメントは控えたい」としている。

     ◇

<武富士が最近提起した主な損害賠償訴訟>

 媒体(提訴時期) 被告    批判の主な対象 請求額

◇週刊誌

 日経ビジネス  編集者ら    業務実態   1100万円

 (02年10月※)

◇ホームページ

 闇富士     元社員     業務実態   3000万円

 (02年12月)

◇週刊誌     

 サンデー毎日  山岡俊介氏ら  盗聴問題   1億1000万円

 (02年12月※) 

◇週刊誌

 週刊金曜日   ジャーナリストら 業務実態  1億1000万円

 (03年3月)

◇単行本

 武富士の闇を暴く 弁護士ら   業務実態   5500万円

 (03年4月)         盗聴など

◇週刊誌

 週刊プレイボーイ 寺沢有氏ら  警察との関係 2億円

 (03年5月)

◇月刊誌

 ベルダ      山岡俊介氏ら 盗聴問題   1億円

 (03年7月)

◇月刊誌     

 創        山岡俊介氏ら 盗聴問題   約3500万円

 (03年8月)

 (注)※は、提訴後取り下げ

(01/28 17:04)

http://www.asahi.com/national/update/0128/030.html