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企業の業績に薄明かりが差す中でも、増え続ける個人の自己破産。最近では、自己破産した後、生活を立て直すことができず、再び多重債務に陥って裁判所に駆け込む“リピーター”も現れている。
その裏では、生活費などに窮した破産経験者を標的に、金をむしり取ろうとする犯罪者たちの影も見え隠れする。
◆官報悪用?詐欺続発…狙われる破産者◆
昨年12月、東京都内の女性会社員(41)に、「国と連携した援助機関」を名乗る男から「信用保証協会に納める保証料を払えば、200万円の生活資金を融資する」と電話がかかった。
女性は4年前に自己破産した後も、生活費や夫名義のマンションのローン支払いに追われて200万円を超す借金を抱え、ストレスと過労で体調を崩した。このため、電話の男にすがり、ローンの支払いに充てるための預金から62万円を振り込んでしまった。
破産者を狙った詐欺は頻発しており、破産宣告と免責決定時の2回、氏名と住所が掲載される官報が悪用されている可能性が高い。官報を基に自己破産者のリストを作成して販売する業者もいる。昨年には、架空の団体が全国の破産者に「官報掲載料を払え」との文書を郵送したこともある。
法務省民事局は「破産の情報を債権者などに提供すること自体は必要で、難しい問題だ」と話している。
◆深刻化前の相談増加、若年層に抵抗感薄く…2つの要因◆
自己破産の申し立て増加には、2つの要因があるという。1つは、深刻な状態に陥る前に、弁護士に相談する債務者が増えたこと。もう1つは、自宅などの資産を持たない若年層にとってデメリットはほとんどなく、抵抗感が薄いことだ。
破産した後、再び多重債務に陥るケースも目立ち、法務省は今国会に、破産法の改正案を提出する予定だ。〈1〉1度免責を受けた後、再度の免責を受けられるまでの期間を、原則10年から7年に短縮〈2〉個人の破産者が手元に残せる「自由財産」を現行の21万円から90万円以上に増額——などの内容で、破産者の再出発を助ける狙いがある。
◆初回の自己破産で借金隠し…免責不許可◆
自己破産による免責が認められない場合もある。横浜市の主婦(42)は昨夏、裁判所から2度目の自己破産を認められたが、免責は不許可とされた。最初の破産の際、消費者金融からの50万円の借金を隠していた上、生活費にも困ってヤミ金融などから借金を重ね、5年で行き詰まった。裁判所は「最初の破産時に、すべての債務を整理しなかった主婦に責任がある」と指摘した。
多重債務を抱えた女性たちの相談に乗るNPO法人「女性自立の会」(東京)の有田宏美理事長は、「自己破産すれば、それまでの借金からは解放されるが、本当はそこから、どのように生活を立て直していくかの方が大切だ」と言う。
◆免責=破産宣告を受けた後、改めて免責を裁判所に申し立て、認められれば一切の借金の返済を免除される。破産の原因が浪費やギャンブルだったり、財産を隠したりしていた場合、不許可になることがある。