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■『社長謝罪してるのに』
「以前の自民党幹部の出演自粛については文書がきたが、今回の拡大については連絡がなく、把握していない。(昨年十一月末に)社長が謝罪しているのに、納得できない対応だ。昨年末から続けている出演自粛解除を今後も求めていくしかない」。テレ朝広報は困惑した様子で語った。
自粛問題の発端は昨年九月に放映された同局の「たけしのTVタックル」だった。番組の内容が、自民党総裁選に出馬していた藤井孝男元運輸相が拉致事件に消極的な印象を与えたとして、自民党が抗議した。
さらに、衆院選の選挙期間中の同十一月、「ニュースステーション」で、民主党の「菅内閣閣僚名簿」を長時間にわたって放映したことを「不公平」とし、自民党幹部が選挙報道番組への出演を拒否した。
■幹部に続き一般議員も
同月末、テレ朝の広瀬道貞社長は「私たちにも非があった」と謝罪したが、自民党は納得せず、先月十一日、NHKと日本民間放送連盟が設置する第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」に審査を申し立てていた。
その審査結果は「具体的な内容はなく解決策にならないもの」(テレ朝広報)だった。自民党幹部は「BPOがちゃんと機能していない。広告主などが入っており、お手盛り状態」と批判、一般議員への出演自粛要請につながったようだ。
自民党がテレ朝に対して厳しい対応をとる背景について、立教大学の服部孝章教授(メディア法)は、こう分析する。「テレ朝は、ニュースステーションなどを中心に、他局にはみられない“独特の批判報道”をしている。九三年、当時の椿貞良・テレ朝報道局長が放送番組調査会で、反自民の立場で発言したとされる『椿発言』以来、自民党内でくすぶっている不信感が爆発した形だ」
■「取材拒否までつながる恐れ」
こうした自民党の対応に問題はないのか。政治評論家の森田実氏は「政権政党がちょっとした批判に目くじらを立てるのは、根本的に間違っている。放送は国の認可事業で、政府が簡単につぶせる。自民党の対応は“弱い者いじめ”でしかない」と切り捨てる。
服部氏も「出演自粛が取材拒否など無制限に拡大する恐れがある。国民のメディアに対する不満を利用しているのだろうが、政権政党としてとる態度ではない。報道がゆがむ危険性があり国民にとって大きな不利益になる」と批判するが、一方で、テレ朝の“ガードの甘さ”を残念がる。
「総選挙が始まる前から自民党から批判があり、こういう事態が予測できたのに準備不足で、対応がお粗末すぎる。『選挙ステーション』で自民党幹部に出演拒否され、司会の田原総一朗氏が『テレ朝どうするんだ』と番組プロデューサーに説明を求めたが、『近日中にお答えする』としか答えられなかった」
■「報道」の力量問われる時だ
服部氏は、テレ朝の今後の報道姿勢に注目する。
「松島みどりなど数人の自民党若手議員が党の自粛要請を振り切って、出演する意向を示している。テレ朝としてはそれらの議員を利用するしか手がないだろう。テレ朝はそんな状況でも、きちんと政治報道できることを示すべきだ。報道機関としての真の力量を問われることになる」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040125/mng_____tokuho__000.shtml