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2004年01月25日(日) 06時19分

生保破綻時、公的資金廃止を検討 金融庁、05年度末朝日新聞

 金融庁は、破綻(はたん)した生命保険会社の契約者保護のために設けている公的資金の投入制度を05年度末で廃止する検討に入った。業界負担を補うために時限的に設けられた制度だが、破綻処理法制の整備で経営不振生保の早期処理が可能になり、必要がなくなったとの考えが強まった。金融審議会で具体策を詰め、今年6月をメドに結論を出す方針。ただ、生保業界は制度の継続を求めている。

 契約者保護のための資金援助は、国内の全生保が加盟する生命保険契約者保護機構が行っている。公的資金制度は保護機構への時限的な支援措置として00年度に設けられた。02年度末にいったん期限を迎えたが、法改正で3年延長。現在、公的資金は4000億円、業界拠出は1000億円を上限に投入できる仕組みになっている。

 業界負担分では足りない場合に公的資金が投入されるが、実際に行われた例はない。従来の保険業法による手続きより早期の破綻処理が可能な更生特例法が00年に施行されて以降、同法に基づいて処理されたのは3件あったが、いずれも業界負担を含めた資金援助自体、ゼロですんでいる。このため金融庁では、「公的資金枠の必要性は薄れた」との見方が強まっている。

 しかし業界側は、制度の継続を求めている。現在、契約者の間で生保経営への不安は沈静化しているが、保護の枠が小さくなることはセーフティーネットの観点から問題だ、という意見だ。

 業界はこれまでの累計で7380億円を負担している。今後は、責任準備金の9割までを補償している、現在の保護水準を引き下げるべきだとの声もあり、公的資金制度廃止の議論とともに、そうした案も検討課題に上る可能性がある。

    ◇

 <生保の契約者保護制度> 生保が破綻すると、その債務超過の額に応じて、保険金支払いのために積み立てられていた責任準備金が削減されるが、生命保険契約者保護機構の資金援助により責任準備金の9割までは補償される。逆に言えば責任準備金は1割まで削減できるということで、債務超過額が小さければこの範囲に収まり、資金援助はゼロですむ。(01/25 06:19)

http://www.asahi.com/business/update/0125/001.html