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米国で牛海綿状脳症(BSE)の牛が見つかって以来、米国産牛肉の輸入再開の条件をめぐって日米間で交渉が続いているが、米国の対応の身勝手さは目に余る。
出荷前にすべての牛についてBSE検査を行う日本が米国産牛肉にも同等の検査を求めていることに対して「科学的でない」とクレームをつけ「米国民は安心して食べている」と言い張る。
プリオンに感染している牛肉を食べても、人間が発症するのは十数年の潜伏期間の後である。現在食べていることと、安全かどうかは無関係だ。米国こそ非科学的である。
その米国は、二〇〇一年九月、日本でBSEの牛が最初に確認されたあと、松阪牛など日本産牛肉の輸入を禁止した。全頭検査で安全が確認されているにもかかわらずだ。
その一方で、安全性の向上について何一つ日本側の要求にこたえないまま、輸入再開を迫るのは矛盾している。日本の消費者が納得できるように説明すべきである。
米国のBSE発生地などを調査した日本政府の調査団は先に、BSEの汚染源とされる肉骨粉の管理の不徹底さなどを理由に「今後、米国でBSEが発生しないという保証はない」という報告書をまとめた。
わずか十日余の調査でこれだけのことが明らかになるということは、米国の末端でのBSE対策はかなり杜撰(ずさん)ということを示唆している。
米国が日本に牛肉の輸出を再開したいのならば、日本国民の懸念に真摯(しんし)にこたえなければならない。
その最大のものは、米国自身が全頭検査を検討することである。科学技術力を誇る米国にできないはずがない。費用がかさみ、輸出価格を押し上げても、それは「安全・安心のため」として日本国民の理解は得られるだろう。
全頭検査に代わる同等の検査方法があれば、それを示すべきである。
欧州のBSE検査の対象牛が生後二十四−三十カ月のため、日本の全頭検査はスタート当初、過剰と批判された。だが、全頭検査のおかげで昨年十一月、広島県で生後二十一カ月の感染牛が発見できた。今後はこれが国際基準でなければならない。
政府は、牛肉の輸入再開で下手に妥協すれば、これまでの国民の信頼を一気に失いかねないことを念頭に置き、交渉を続けてもらいたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040124/col_____sha_____003.shtml