2004年01月23日(金) 00時00分
ニューヨークのレストラン。日本から出かけた数人の仲間ととも… (東京新聞)
ニューヨークのレストラン。日本から出かけた数人の仲間とともに夕食となった。さて何を注文しましょうか、とメニューをあさった。みんなが、何がおいしいか、どれが体にいいか、とやりだしたところで、私は無粋にも食べ物の効用について、理屈を並べてしまった▼「食べ物は、人間から遠いものほど、いいんだってね。まず、近い物から挙げていけば、牛や豚や羊などの哺(ほ)乳類。ついで鶏などの鳥類。それから水中にはいって魚類となる。そしていよいよ植物となって野菜、果物が来る」▼「同じ植物でも、人間から遠く離れた海藻類は体にいいとされている。また、その先の菌類の効能は近年、やかましく説かれるところ。将来、がんなどの特効薬ができるとすれば、海底か菌類の中から出るんだってね」▼さてこの受け売りの食談議、いささかの効あってか、各自それぞれに好みの品々を注文した。出てくるお皿はと見れば、正面切っての肉食は避けているようだった。だが、最後に出てきた私の一品は特大のステーキだったから、一同爆笑となった▼米国産牛のBSEが問題になってから、日米の対応の違いが論議を呼んでいるが、米高官の言葉が心に残った。「大事なのは、アメリカ人が依然として肉を食べている、という事実です」と▼徹底した安全を求める日本のやり方と、ともかく好物だからということを最初にもってくるアメリカ流と。「人はなにゆえに食べるか」。食の原点に立ちかえって考えることは多い。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20040123/col_____hissen__000.shtml