2004年01月23日(金) 11時53分
<輸血医療>HIVすり抜け防止へ安全対策 坂口厚労相(毎日新聞)
エイズウイルス(HIV)などに感染した献血血液が日本赤十字社の検査をすり抜けて輸血に使われた問題で、坂口力厚生労働相は23日の閣議後会見で「輸血医療の安全性確保のための総合対策」を策定する考えを明らかにした。26日までに取りまとめ、専門家の意見を聞く方針。現在の検査精度には限界があるため、健康な人を対象にした献血の登録制度(リピートドナー)などを検討し、これまで主に日赤が行っていた安全対策の本格支援に乗り出す。
献血検査について日赤は希望者に肝炎ウイルスの有無などの結果を通知しているが、一部に検査目的で献血する人がいることが問題視されている。現在の検査では、ウイルスに感染している血液でもすり抜けの恐れがあるからだ。
この点を坂口厚労相は「できるだけ健康な人に何度も献血していただくのが一番いい。献血者にも健康を維持しなければいけないんだという認識が必要だ」と述べ、リピートドナーなどの対策を検討する考えを明らかにした。輸血前後の患者への感染症検査徹底なども検討する。
坂口厚労相は昨年末から2度にわたって日赤の藤森昭一社長と会い、今後の安全対策について意見交換していた。藤森社長も同日午後に記者会見し、安全対策の取り組み状況などを説明する予定。
現在、日赤が献血血液に行っている核酸増幅検査(NAT)は、HIVや肝炎などに感染した直後、血液中のウイルス量がわずかなために、検査をすり抜けてしまう空白期間(ウインドーピリオド)がある。
このため、日赤は▽現在50人分をまとめて調べているNATを20人分に減らし、検査の感度を高める▽ウイルスの感染力をなくす「不活化処理」を導入する、など7項目の安全対策に取り組む方針を表明していた。
だが、こうした技術を導入してもすり抜けをゼロにすることは不可能なため、今年から一部の血液センターで献血者に身分証明書などの提示を求め、検査目的の献血をなくすための対策を進める方針だ。【須山勉】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040123-00001042-mai-soci