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■総額のみ/税込み注記/本体価格別記
「店頭表示が九十八円という商品が姿を消すことはない。税込みの総額で九十八円とする。その売価を前提に、コストを見直していくことになるでしょう」
こう話すのは大手スーパー・ダイエーの広報担当者。同社は、店頭での表示は税込みの総額だけにするという。
ただし、レシートの表示は、図のように、例えば百五十円の商品なら、税込みの百五十七円ずつを足し、合計価格も税込みで表示して、最後にかっこ書きで(うち税〇〇円)などとすることに決めている。
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スーパーにとって頭が痛いのは、九十八円とか三百九十八円などといった特売商品の値決めだ。そのまま、例えば「税込み百二円」としたら割安感がなくなる。
「末尾八の価格は、三十年、四十年といった時間の中で『安さ』を感じる価格として定着してきたので、やめるわけにはいかない」と中堅食品スーパーの幹部は言う。
店頭の表示価格も、いきなり総額表示一本にすると、消費者には値上げのような印象を与える。そこで、かっこ書きの中に本体価格や税額、あるいは「税込み」といった表示をして、税が含まれていることを示す方法も考えられており、財務省は計五通りの表示例を小売業界に示している。
この中堅食品スーパーでも、(1)総額だけ(2)総額に、かっこ書きで「税込み」(3)総額にかっこ書きで「本体価格〇〇円」−の三通りに絞って検討している。
一方、売り場の表示は総額一本で「レシートの税額表示もしない」と言うのはイトーヨーカ堂。現在はレシートに5%の消費税額を表示しているが、四月以降はレシートから「税」という文字を消してしまう。
「痛税感を持つために表示するべきだとの意見もあるが、いずれは消費税率が上がる。8%、10%と上がる都度にシステムを変えるのは大変で、税が表示してあると、お客さんも混乱する。今のうちにシンプルな形にしておいた方がいい」と広報室では説明する。
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ほかの小売業だと、コンビニエンスストアのローソンは、店頭は「〇〇円(税込み)」と表記し、レシートは一品ずつ総額を足していき、総合計に「うち消費税〇〇円」とかっこ書きする方針という。
百貨店の松坂屋では基本的には「税込み〇〇円(本体価格〇〇円)」と表示し、レシートは今まで通り、本体価格の合計に5%を掛ける外税方式にする。高島屋も「税込み〇〇円(本体〇〇円)」といった表示にし、レシートは今まで通り外税にする。
消費者が慣れればかっこ書きは消えていくかもしれないが、当面は、業態によってさまざま表示が入り乱れそうだ。
同じ店でも、四月一日から一斉に変えることは難しい。イオンは「原則として店頭は総額表示のみとするが、周知期間は(税込み)としたり、衣料品では総額と本体価格を併記したりする。その期間はかなり長くなりそう」と話す。
イトーヨーカ堂も「三月までに納入した商品が残るので、例えば同じ商品で千円と千五十円という表示が混在しそう」と言い、消費者の混乱は避けられそうもない。
■『消費税上げ準備』の見方も
これまでは消費税額の表示についての法規制はなく、小売業界では表示価格には税を含めず、レジで5%分を掛けて請求する「外税」方式が主流だった。それが、昨年3月に成立した改正消費税法で、今年4月から総額表示(内税)方式を義務づけることが決まった。
財務省は「税抜き表示では、いくら払えばいいのか分かりにくく、価格の比較がしづらかった。総額表示では税額を含む支払総額が一目で分かるようになる」と、説明する。しかし、総額表示にすると消費税が価格の中に紛れ、税額を意識するのが難しくなるので「消費税を上げるための準備だ」という見方もある。
日本消費者連盟の事務局長水原博子さんは「物を買うたびに別に消費税を計算し、『高いなあ』と思うことで、税金が何に使われているか考えることが大事なのに、総額表示になると税金を払っている自覚があいまいになってしまう」と批判している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040122/ftu_____kur_____001.shtml