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■事例1
本紙読者の四十代の女性は昨年八月末、カード会社から届いた請求書を見て首をかしげた。「ヤフージャパン」から同じような金額の請求が二件重なっていたからだ。
女性はADSL(非対称デジタル加入者線)でインターネットに接続するため、インターネット検索大手「ヤフー」系のADSLサービス「ヤフーBB」に加入していた。接続料約五千五百円が七月三十一日付でヤフーから請求されていたが、同じ日付で約五千二百円の請求があった。
同社の相談窓口に何度も問い合わせたが「請求は間違っていない」との一点張り。仕方なく、カード会社「ユニーカードサービス」に問い合わせると、一週間ほどして回答があり、第三者への請求が自分のところへ来ていたことが分かった。間違って銀行から引き落とされた料金は現金で返す規定がなかったため、その後の接続料と相殺する形で解決したという。
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ヤフーの広報担当者によると、別の人がインターネット上でヤフーBBへの加入手続きをした際、カード番号の入力を間違え「偶然にもこの女性のカード番号と一致してしまった」ことが原因だという。
ユニーカードの説明によると、ネット上の取引では、カード会社は、加盟店からカード番号と有効期限だけを送信してもらい、カードが利用可能かどうかをチェックしている場合が多い。ネット上で入力したそれ以外の個人情報が合致しているかは確認しない。
これだけの情報で十分と考える根拠は「十六けたのカード番号と、有効期限が偶然に一致する確率は低いため」と、同社は説明する。
■事例2
五十代の男性は昨年末、UFJカードからの請求書を見て驚いた。同年十一月に東京のコンピューターソフト会社「ソースネクスト」から約七千円の製品を買ったことになっている。UFJカードは持っているが、身に覚えがない。
問い合わせた結果、両社から「別の人がインターネット上でソース社に注文する際、カード番号の一部を間違って入力し、偶然にも男性の番号と一致したため、誤った請求を出した」という説明を受けた。
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ソース社のネット注文の画面を見ると、商品を選んだ上で名前や住所、カード番号、カードの有効期限、カード名義などを入力する仕組みになっている。だが、これらの情報のうち、UFJカードが確認したのは▽カード番号▽カードの有効期限▽利用日▽売上金額▽利用店名−の五点。カード名義も確認していれば「誤請求」は防げたはずだった。
この点についてUFJカードは「できる限り少ない情報で利用店とやり取りする方が効率的で、個人情報の保護にもつながる。原則として、本人確認の義務は利用店にある」と説明する。
これに対し、ソース社は「利用店としては、カード会社が用意した一般的なカード決済のシステムに乗らざるを得ない。そのシステムの中での本人確認はしている」と話し、一利用店では対処できない問題だとする。
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業界としての防止策はないのだろうか。ネット上でクレジットカードを利用する時、カード会社が事前に発行した専用のパスワードの入力が必要なシステムを導入する動きもあるが、UFJカードは「システムの整備には多大なコストがかかる。すべての加盟店に導入しようとすると、経営が立ちゆかなくなるカード会社が出てくる」。ソース社は「取引の利便性と手間のかかる本人確認をどう両立させるか難しい問題」としている。
しかし、カードを偽造したり盗んだりしなくても、番号や有効期限を知るだけで、他人の口座から引き落としができてしまうのは問題だ。利用者にとっては効率よりも安全の方が大切だろう。
■自衛策は照合しっかり
クレジットカード会社でつくる業界団体・日本クレジット産業協会(東京都新宿区)の広報担当者は、カードの情報を読み取って不正利用する「スキミング」という手口でカードが悪用されたケースは多いが、番号間違いで他人へ請求が行ったケースは「聞いたことがない」と言う。
「利用者が、毎月の請求書とカードの利用票の照合をしっかりしてもらう以外に自衛策はないでしょう」と担当者。
怖いのが、番号と有効期限を他人に知られてしまった場合。ネット上なら現物がなくても、このデータだけで他人になりすませる。担当者は「請求書にもカード番号が書いてある。軽い気持ちで捨てないで、保管するか、きちんと処分してほしい」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040122/ftu_____kur_____000.shtml