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2004年01月22日(木) 00時00分

不健康食品 肥大する被害買い取り検査で医薬品成分が見つかったダイエット食品。業者が回収を進めている朝日新聞・

県内3年で43人/県「実態、もっと多い」

 「やせたい」「今の体形を維持したい」——。こんな素朴な気持ちからダイエット食品に手を出し、健康を害する人が増えている。県内ではこの3年間で43人の健康被害が確認された。美容院やインターネットで販売される中国原産のダイエット食品に、未承認医薬品が含まれているケースが後を絶たず、県も対策に力を入れている。
(松田京平)

 県薬務課のまとめによると、01年度以降、県内で健康被害を引き起こしたダイエット食品は10品目。被害者43人のうち、1人を除いて女性で、30〜40代が半数を占める。「これは食品と症状の因果関係がはっきりしている数で、実態はもっと多いはず」と江口国生・県薬務課長。

 昨年末には、厚生労働省の調べで、中国製のダイエット茶を飲んだ県内の母娘に肝障害の症状が出たことがわかった。母は肝機能の数値が異常になり、動悸(どうき)などの症状が出た。娘は急激に食欲がなくなって体重が減り、入院したという。

 同省は02年に中国製「やせ薬」問題が発覚後、昨年8月末まで954人の健康被害を確認。うち4人が死亡している。

中身は同一

 県は02年度から、抜き打ちで健康食品を買い取り、未承認医薬品が含まれていないかどうか成分検査をしている。

 昨年11月、委託を受けた社団法人北九州市薬剤師会が、健康食品2品目、ダイエットティー13品目を買い上げて検査したところ、4品目から未承認の医薬品成分「シブトラミン」、または「脱N−ジメチルシブトラミン」を検出した。

 販売業者に対して県は薬事法違反(医薬品の無許可販売と無許可医薬品の販売)の疑いで販売中止と製品の回収を指導。製造業者がある鳥取県、違反製品の代理店がある関係道府県に通報した。

 4品目とも久留米市の輸入業者が中国から原材料を購入。鳥取県の製造業者が錠剤にして、久留米、福岡両市の計4社が別々の品名で販売していたことがわかった。

検査はパス

 この輸入業者は朝日新聞の取材に対し、「中国にある原料の製造元から医薬品成分を含んでいないと説明を受けた」と話す。国内の検査機関にも調査を頼み、「シブトラミン」などが検出されなかったとのお墨付きを得ていたという。検査結果の書類はホームページで公開し、ネット通販の顧客に安全・安心を訴えていた。

 業者は発覚後、中国に出向き、原料の製造元に問い合わせたが、「成分は生薬をもとに製造する際に自然にできたもの。人為的に混入したことはない」と話したという。

 厚労省は、中国の製造元が日本や中国の薬事規制を逃れるために、検査で見つかりにくい医薬品成分を混ぜていた疑いがあるとして、中国政府に業者への監視を強めるよう要請する構えだ。

「自己責任」

 薬局や飲食店と違い、健康食品の店を出すには許可がいらない。規制緩和で個人輸入が認められ、インターネットの普及もあり、販売業者の数は把握しにくいのが実情だ。ただ、製品は食品衛生法の適用を受け、許可なく効能を表示した製品を販売すれば薬事法違反に問われる。

 県警は昨年4月、ダイエット食品を販売していた福岡市中央区の美容室などを同法違反容疑で捜索した。同年8月末施行の健康増進法には、食品の誇大広告には厚労省の措置命令や刑事罰が設けられ、県も業者に対する指導を強める方針だ。

 江口課長は「最終的には飲む人個人の自己責任による。よくよく考えてほしい」と話している。


未承認の医薬品成分

 「シブトラミン」は米英仏独など約70カ国で承認されているが、日本では認められていない。肥満症の治療に効能があるとされるが、血圧や心拍数が上がり、頭痛や便秘、不眠などの副作用も指摘されている。構造式が似ている「脱N−ジメチルシブトラミン」も同様の副作用が考えられ、健康被害のおそれがあるという。(1/22)

http://mytown.asahi.com/fukuoka/news01.asp?kiji=5812