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「ペット供養」は人の供養と同様、課税されるべきではないとして、愛知県春日井市の宗教法人「慈妙院」(渡辺円猛=えんみょう=住職)が20日、地元の税務署を相手取り、課税処分の取り消しを求める訴えを名古屋地裁に起こした。読経や納骨を「課税対象の収益事業」と認定、課税した税務署の判断に対し、「飼い主の悲しみを癒やし、ペットの霊を鎮める宗教行為」と主張している。
ペットブームの中、ペット供養の課税を巡る全国初めての訴訟として、全日本仏教会(東京)も支援する構え。宗教論争も絡み、裁判所の判断が注目されそうだ。
訴えによると、同県の小牧税務署は、慈妙院のペット供養のうち、読経や火葬、火葬後の法要を「請負業」、ペットの遺骨を保管する納骨を「倉庫業」と認定し、01年3月期までの5年間で約600万円を課税した。
民法などによると、請負は仕事を完成させ、その結果に対し報酬を払う契約を指し、倉庫業は預かった物を倉庫に保管、出し入れもする業務を意味する。
寺側は「読経などは供養の付属行為で、何かを完成させるために行うものではない」「ペットの遺骨は永久に保管を予定している」として、「請負業や倉庫業の認定に疑問がある」と主張。一連の行為について「ペットの霊魂を鎮め、飼い主の喪失感などを癒やす行為で、非収益事業」と訴えている。
慈妙院の渡辺住職は「動物の魂の供養が宗教行為である点は譲れない」と強調する。全日本仏教会の税務担当者も「ペット供養は深い宗教心による行為。課税の是非が問われる初の裁判で、支援したい」と話す。
名古屋国税局は「個別の事柄についてはコメントできない」としている。
ペット供養は、ペットブームを受けて寺院で行うことが増えているが、課税はばらつきがみられる。東海地方のある寺院は読経と火葬は課税されたが、納骨代は非課税。別の寺院は読経、納骨などによる収入を申告していないが、指摘されたことがないという。
一方、民間会社のペット供養は全面的に課税される。会社と連携する寺院もあり、寺院が読経と納骨、会社が火葬などと分担を決め、会社が飼い主から受け取った供養料のうち寺院に渡る分は非課税といい、課税の公平性の問題も指摘されている。
(01/21 10:08)