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2004年01月19日(月) 03時18分

鳥インフルエンザ、ワクチン実用化に特許の壁読売新聞

 アジアで流行中の鳥インフルエンザが人から人へ感染する新型インフルエンザに変異した場合、海外企業が持つ特許などが壁になり、新型に効くワクチンの実用化までに時間がかかる可能性が強いことが分かった。感染力の強いインフルエンザを制圧するためにはスピードが必要とされ、関係者は危機感を強めている。

 この問題は、昨年、感染症研究者らが共同でまとめた「新型インフルエンザ対策に関する総合研究」で、すでに指摘されていた。

 ベトナムや韓国、日本などで現在確認されている鳥インフルエンザ(H5N1型)については1997年に香港で死者が出て以来、国立感染症研究所などがワクチンの研究を開始。人に感染するウイルスとタイプが一緒で毒性の弱いものを野生動物から探したり、ウイルスの毒性を弱めたりする手法を用いて、ワクチン開発のめどが立った。

 ところが、毒性を弱めるために使われる特殊な遺伝子操作技術や製造工程の多くの部分は、米国を中心とした複数のベンチャー(新興)企業により、ばらばらに特許権を押さえられていることがわかり、大きな問題となっている。

 これらの技術をワクチン商品化に利用するには、企業との交渉や特許使用料の支払いが必要。世界保健機関(WHO)も事態を深刻に受け止め、調整に入っているが、協力が得られないのが現状という。

 また、仮にワクチンが大量製造できるようになったとしても、現在、世界全体で1シーズンに製造可能なインフルエンザワクチンは2億3000万回分で、地球人口の約4%しかない。

 総合研究の主任研究者、田代真人・国立感染症研究所ウイルス第3部長は「緊急時に大量のワクチンを確保するには国の指導や企業の協力が不可欠。新型発生から始めたのでは間に合わないので、今から対応が必要だ」と訴えている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040119-00000101-yom-soci