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「今の銀行がやらないから、たまりかねてやる。このままじゃ、宝の持ち腐れの企業もある」。石原慎太郎知事はこう語った。
「東京の小さな企業がバイオ技術開発で韓国から融資を受けて急成長した。こういう事例がいくらでもある」。あらためて中小企業向け新銀行の必要性を訴える。それというのも二期目の最大公約であるからだ。
予算の中に新銀行創設のための出資金一千億円が盛り込まれ、うち七百億円は都債発行で賄う。〇五年度の開業を目指し、技術力や将来性が高い企業には最大一億円を無担保融資する。
開業三年で約一兆六千億円の融資を目指し、クレジット機能などを備えた多機能ICカードを武器に百二十万口座、総資産一兆九千億円を確保する考えだ。
問題は新銀行が担保不足や業績が悪化している企業にも柔軟に融資することにある。「融資の審査はどこまでやれるのか」「担保にとらわれない融資ができるのか」。「多機能ICカードは大手銀行も試験段階」といった指摘もある。
貸し倒れが多くなれば、都が財政負担する事態も想定しなければならない。なのに、都民に十分なマスタープランを示さないまま、予算だけが先行した感がある。
都の財源不足は新年度約千七百五十一億円で、減債基金への積み立て一部見送りなどが必要だ。都債残高は約六兆九千億円、市街地再開発事業の赤字などの「隠れ借金」も一兆円強になる。
資金繰りに悩む中小企業に手を差し伸べることは理解できる。新銀行についてはリスク管理を含め、議会で徹底した議論を進めてほしい。
もう一つ、約八十七億円を盛り込むなど治安対策にも力を入れている。来日外国人犯罪対策では、東京港に監視カメラを整備、二十四時間の監視体制を取る。子供を守るため学校と警察が協力し、スクールサポーターを都内全域に配置する。評価できる内容だ。
ただ、知事は公約で警視庁に千人規模の職員を派遣する姿勢を示していたが、結局、百人となった。国の警察官増員計画で二百人、警察OB再雇用と合わせ八百人規模の人手が確保できるというのが理由だ。身近な治安が悪化している現状から、派遣職員が十分か疑問が残る。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040119/col_____sha_____003.shtml