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2004年01月16日(金) 22時17分

「予防接種で感染」原告の請求一部認める B型肝炎訴訟朝日新聞

 「B型肝炎ウイルスに感染したのは、注射器などを連続使用した集団予防接種が原因」として、札幌市などに住む男性患者ら5人(20〜52歳、うち1人は死亡)が、国を相手に総額5750万円(1人当たり1150万円)の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、札幌高裁であった。山崎健二裁判長は、原告全員の請求を棄却した一審判決の一部を変更し、「原告全員の感染は集団予防接種が原因」と認定。原告のうち3人の請求を認め、計1650万円(1人当たり550万円)の支払いを命じた。

 残る2人の請求については「損害賠償請求権が消滅する除斥(じょせき)期間(20年)が経過している」として原告の控訴を棄却した。原告弁護団によると、2人については上告する方針。

 集団予防接種を肝炎ウイルス感染の原因と認定した判決は初めて。患者救済など今後の厚生行政にも影響を与えそうだ。

 原告5人は幼児期にツベルクリン反応などの集団予防接種を受けていた。死亡者を除く原告のうち3人は慢性肝炎患者、1人は未発症の持続感染者(キャリア)で最年少の専門学校生亀田谷和徳さん=札幌市中央区。

 判決は、亀田谷さんと電気工事業木村伸一さん(39)=札幌市北区=、2年前に37歳で死亡した男性の遺族の請求を認めた。

 裁判では、予防接種と感染の因果関係や、注射器の1回ごとの交換を徹底しなかった点に国の責任があるかどうかなどが主な争点となった。

 控訴審判決は「注射器の連続使用による感染は予見できた」とし、「国は未然に防止する義務があったのに怠った」と指摘した。

 一審判決は、過去の集団予防接種について「針と筒を連続使用し、感染させる可能性があった」と一般的な因果関係は認めたものの、原告個別の因果関係については「別の注射や、歯科医療など一般の医療行為、家族内の感染など別の可能性がある」として国側の主張を認めていた。

 控訴審判決は「国の主張する別の可能性は時期や場所、方法が抽象的であり、具体性がない」と判断した。

 原告は89年6月に札幌地裁に提訴。一審判決は00年3月に言い渡され、原告側が控訴した。(01/16 22:17)

http://www.asahi.com/national/update/0116/024.html