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山口県阿東町にある採卵養鶏場の鶏が高病原性鳥インフルエンザで大量死した問題で、山口県が農林水産省の定めた防疫マニュアルに反して、鶏の血清抗体検査などのモニタリングを実施していなかったことが分かった。同県は「協力が得られる養鶏農家が見つからなかった」と説明しているが、感染が確認された12日に県が報道機関に配ったマニュアルは、モニタリングに関する項目がすべて削除されていた。
マニュアルは昨年9月17日付で、農水省から各都道府県の畜産担当部長あてに出された。
高病原性鳥インフルエンザ発生時の防疫措置を適切に実施するのが目的で、同インフルエンザの症状や感染経路、疑われる症状を示す鶏などを発見した場合の措置のほか、早期に発見するための監視体制を構築するよう求めている。
モニタリングは県が1農場の10羽を対象に血清抗体検査やウイルス分離検査をし、結果は可能な限り毎月、農水省へ電子メールで報告するとされている。しかし、山口県から農水省への報告は一切なかったという。
韓国での高病原性鳥インフルエンザ発生を受けて農水省は昨年12月にも、日本への侵入防止のため、各都道府県に農家の啓発やマニュアルに沿った指導を求めていた。
同県畜産課は「農家に働きかけていたが、病気が見つかったら困る、などと協力が得られなかった。勝手にやるわけにはいかなかった」と弁明している。
農水省衛生管理課によると、山口県以外にもモニタリングを実施していないところがある。同課は「モニタリングは強制ではないが、鳥インフルエンザが発生する前の対応として有効な手段なので実施してほしい。効果的な発生予防になることは、専門家も指摘している」と話している。
県は報道機関などへの説明用にモニタリングの項目を削除したマニュアルを配った。理由については「発生後なので、(モニタリングは)関係ないと判断した」としている。
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福岡県の場合、高病原性インフルエンザが香港で流行した97年から毎年、県内の養鶏場を対象にしたウイルス検査を続け、02年度は50カ所で計500羽を調べた。農水省が防疫マニュアルを定めた後は、モニタリングが「県内1カ所で10羽、1〜2カ月に1回」とされているところを、5カ所で毎月検査している。
福岡県畜産課は「モニタリングの数を増やせば、病気はより速やかに発見できる。国のマニュアルは最低限のことだと思っている」と話している。(01/15 03:01)