2004年01月15日(木) 12時24分
<医療訴訟>胃がん発見遅れ訴訟で延命の可能性認める 最高裁(毎日新聞)
胃がんで死亡した30代の女性の遺族が、死亡の7カ月前の診察でがんを発見できなかった滋賀県近江八幡市の開業医を相手取り、5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(深沢武久裁判長)は15日、適切な治療による延命の可能性を認め、原告敗訴の2審判決を破棄して審理を大阪高裁に差し戻す判決を言い渡した。
判決によると、女性は99年6月に吐き気などを訴えて被告の病院を受診し「急性胃腸炎」などと診断されたが、その3カ月後には病状の進行が速い「スキルス胃がん」の末期であることが別の病院で分かり、00年2月に死亡した。1、2審は医師が胃がんを疑って必要な再検査をしなかった医師の過失を認めつつ、死亡との因果関係が証明されていないことなどから賠償責任を認めなかった。
同小法廷は「当時の医療水準に応じて化学療法が開始されていれば、特段の事情がない限り、良好な治療効果が得られたと認めるのが合理的だ」と判断した。
医師の過失をめぐっては「死亡との因果関係が証明されなくても、適切な医療行為がされていれば助かった可能性が相当程度あれば、賠償責任がある」との最高裁判例があり、遺族側は「1、2審判決は、この判例に違反している」と上告していた。【清水健二】(毎日新聞)
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