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東京など首都圏で昨年相次いだワシントン条約で商取引が禁止されているホウシャガメなどの希少動物の盗難事件。警視庁に種の保存法違反と窃盗容疑で逮捕された横浜市鶴見区の鍛冶工、三村学被告(35)は、インターネット上に「SAMURAI」と名付けた掲示板を開設し、密売していた。闇市場に出されたレッサーパンダは末端価格で一匹339万円の高値で取り引きされていた。警視庁生活環境課は、最近のペットブームに付け込んだ密売方法の解明を進めている。
これまでの調べでは、三村被告は昨年4〜6月にかけ東京、千葉、神奈川の計4カ所の生物研究所と動物園を狙って希少種のワオキツネザル、ホウシャガメ、レッサーパンダなど計16匹を盗み出した。忍び込む際は、単独で行動したり、仲間一人と組んで行動していたという。
密売する際は、自身でネットに開設した掲示板「SAMURAI」にアクセスしてきたペット店経営者に販売したり、三村被告がペット専門誌に掲載された販売業者に対し、電話で直接取り引きを申し込んだケースもあった。盗んだ16匹は総額約550万円で売りさばいた。
買い取ったペット業者は、業者間で売買していたほか愛好家に転売していた。ホウシャガメなどは末端価格で20〜25万円で愛好家に販売し、取引総額で1140万円に上ったという。
生活環境課はこのほか昨年3月、東京都足立区のは虫類両生類専門店からホウシャガメなど計13匹が盗まれた事件▽同6月、世田谷区三軒茶屋のペット店からカメ類114匹が盗まれた事件▽同月、川崎市の夢見ケ崎動物公園からエジプトリクガメ5匹が盗まれた事件に関し、三村被告が関与している疑いがあるとみて捜査している。
野生動物に詳しい日本獣医畜産大の羽山伸一助教授は、この事件を「でたらめに生物が売り買いできる実態は、法や制度そのものを変えないと解決できず、この種の犯罪は何度でも起きる。ペットショップを許可制にし、個体登録制度を設け、人間が楽しみのために飼っていい種を限定したりすべきだ」と指摘している。【田中義宏】
■ことば(種の保存法) 国内で絶滅の恐れがある動植物の捕獲と採取、流通を規制し、ワシントン条約など国際取引規制の対象となる種の国内取引を規制する目的で92年6月に制定された。希少野生動植物種を譲渡したり、譲り受けた場合、1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科している。
[毎日新聞1月15日] ( 2004-01-15-03:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040115k0000m040150000c.html