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2004年01月14日(水) 01時22分

1月14日付・読売社説(2)読売新聞

 [鶏の感染症]「封じ込め徹底で被害拡大止めよ」

 伝染性の強い感染症が発生した場合、人間でも動物でも対策は同じだ。拡大防止と感染経路解明に全力をあげることだ。

 山口県の養鶏場で、鶏などが感染する鳥インフルエンザの発症が確認された。国内では一九二五年以来、七十九年ぶりのことである。

 農水省や県は、この養鶏業者が飼育している鶏の全羽処分を決め、一帯の養鶏場に対しても出荷停止などを命じた。現実的な措置だ。何よりも、感染症を封じ込めることが第一だ。

 感染経路も早急に割り出さねばならない。鳥インフルエンザは、鶏以外にカモやアヒルなどがかかる。ウイルスの種類によってさまざまなタイプがあり、人間に感染する場合もある。

 ここ数年、アジアや欧州各国で、頻発するようになった。九七年には香港で発症し、百万羽を超す鶏が処分された。その際、人間にも感染して、六人が死亡した。中国やドイツでも発症した。

 韓国では、昨年十二月に発症し、鶏七十六万羽が処分された。ただ、韓国では人間への感染は起きていない。

 山口県で確認されたウイルスと、韓国で確認されたものを検査した結果、同じ種類とわかった。

 感染経路としては、韓国から飛来した渡り鳥のフンなどを経由して、ウイルスが運ばれた疑いが持たれている。韓国当局とも協力して解明に全力をあげ、経路の遮断に努めることが大切だ。

 この感染症は、人間にうつるものの、感染力は弱く、養鶏業者や獣医師ら鶏と密接な関係のある人にほぼ限られる。一般人が感染する可能性は極めて低い。もちろん、関係者の感染予防に力を入れるのは当然だ。

 一方、鶏卵や鳥肉を食べて感染した例は、これまでないという。

 農水省や厚生労働省は連携して、こうした情報を素早く的確に提供する必要がある。消費者も、いたずらにおびえる必要のないことを冷静に認識すべきだ。

 農水省は、昨秋に防疫マニュアルを作り、不審な症例があった場合は通報するよう養鶏業者を指導していた。今回、それに沿った報告があり指導が生きた。今後も、警戒体制を緩めてはならない。

 国内には、約四千五百の採卵養鶏業者と、約二千八百のブロイラー生産業者がおり、三億羽近い鶏が飼われている。

 国内の自給率は鶏卵で96%、鶏肉で65%と高率を維持している。国内で感染が広がれば、養鶏業者ばかりか、消費者への打撃も大きい。

 BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)で失敗した農水省の手腕が問われている。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040113ig91.htm