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山口県の養鶏農場では、鳥インフルエンザウイルスに感染して死んだニワトリが昨年暮れからこれまでに飼育中のニワトリの四分の一近い八千三百羽にのぼった。同県は残る全羽の処分や鶏舎の消毒に加え、半径三十キロ以内のニワトリや鶏卵の移動を制限した。
今のところ、農場の従業員の健康に異常は見られず、近隣で似たような症状を示すニワトリも発生していないのが幸いだ。初期対応としてはうまくいったといえよう。
山口県で確認されたウイルスは、韓国のニワトリの間で昨年末から大流行している「H5N1型」と同じ型であることが、詳細な検査の結果、十三日わかった。
このため、渡り鳥を介して国内に侵入した可能性が高くなった。
そうだとすると、今後も国内の他の地域にウイルスが持ち込まれることが考えられる。そのために万全な対策が求められる。
問題の農場は野鳥が窓から自由に出入りできる構造だった。実際にそこから侵入したのかどうか不明だが、念のため野鳥の出入り防止を全国的に徹底する必要がある。
BSE(牛海綿状脳症)の病原体であるプリオンに感染した牛肉と違い、鶏卵や鶏肉を食べて感染した例はこれまで世界的に報告されていない。これらの食品を食卓から排除するなど過度に恐れる必要はない。
懸念されるのはニワトリから人間へのウイルスの感染である。感染経路はニワトリやその糞(ふん)に触れることによる場合が多い。全国の養鶏場で働く従業員やその家族は、健康に十分に注意してほしい。
鳥インフルエンザウイルスは、従来、人間には直接感染しないと思われてきたが、一九九七年に香港で十八人が感染し、六人が死亡した。
死亡率が高いのは、このウイルスへの抗体を持っていないためだ。
昨年には香港やオランダ、ベトナムで感染者が発生した。ベトナムでは母子ら三人のほか、八人が似た症状で亡くなったことを世界保健機関(WHO)が十三日、明らかにしている。
ニワトリから人間への感染は少ないとはいえ、油断してはならない。
同時に、人間同士で感染する「新型インフルエンザ」に突然変異する可能性がないわけではない。国はワクチン開発を進めるなど最悪の事態に備えておくことが必要である。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040114/col_____sha_____002.shtml