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2004年01月13日(火) 00時51分

鳥インフルエンザ感染、山口で確認 国内では79年ぶり朝日新聞

 山口県阿東町の採卵養鶏場の鶏から、鳥の病気「鳥インフルエンザ」のウイルスが検出されたと、同県と農水省が12日発表した。このウイルス(高病原性H5亜型)は致死性が高く、同農場ではこの約半月間で約6000羽が死亡した。高病原性のものの発生は国内では1925(大正14)年以来79年ぶり。同インフルエンザの人への感染は、生きた鶏との接触による例はあるが、卵や肉を食べての感染報告はない。同省は「過度の心配は不要」としているが、県は「念のための措置」としてすでに市場に出た卵の回収を始めた。

 農水省などによると、昨年12月30日、同町の有限会社「ウインウインファーム」(斎藤健夫代表)山口農場の従業員が、下痢や呼吸障害など今までと違う症状で死ぬ鶏が相次いだため、不審に思って県中部家畜保健衛生所に連絡した。

 県の立ち入り検査で症状などからインフルエンザウイルスの疑いが浮上し、茨城県つくば市の動物衛生研究所に検査を頼み、12日に鳥インフルエンザと判明した。

 死んだ鶏は昨年12月28日から今月11日までに5982羽にのぼり、同農場で飼育する3万4640羽の17%にあたる。県は鶏舎の消毒後、残りの鶏も全羽を処分する。

 同農場の従業員の健康に異常はないという。

 県は農場から半径30キロ以内を鶏と卵の移動制限区域に指定。30の農場に、病原体が拡散する恐れのある鶏や卵の出荷停止、飼料などの移動の禁止を求めたほか、区域内の食鳥処理場や卵集配センターを閉鎖した。

    ◇

 ウインウインファーム山口農場は卵を県内だけに出荷しており、山口市内を中心に約100店を通じて売りに出され、一部は販売済みの可能性もあるという。同農場が出荷しているのは、ラベルに書かれた「おったまご」という商品名のわきに「W」と印刷されている卵。県は12月28日以後に出荷された約36万4700個の回収を始めた。

 一方で、農水省は「卵や鶏肉を食べても人に感染した例は世界的にも報告されていない」と呼びかけた。

 鳥インフルエンザは、去年12月から韓国で流行。同省は同月12日以後、韓国からの鶏肉の輸入を停止している。また渡り鳥などで日本に入ってくる恐れがあるとして鶏の症状を監視するよう都道府県に求めていた。

 人間へは、鶏やふんに直接触れてウイルスが体内に侵入することで感染するが、どの程度の接触なら危険なのかは明確にはわかっていない。感染した場合は発熱や肺炎などが見られるという。

 香港では鶏やふんなどとの接触で97〜98年に感染者18人が出て、肺炎などで6人が死んだ例が報告されている。オランダでは昨年、治療に当たった獣医師が死亡した。(01/12 22:29)

http://www.asahi.com/science/update/0112/002.html