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2004年01月13日(火) 01時42分

鳥インフルエンザ、養鶏業者「警戒していたのに」読売新聞

 山口県の養鶏場で12日、鳥インフルエンザの発生が確認された。昨年暮れから韓国で猛威を振るい、農水省や養鶏業界も警戒を強化する中での感染判明。国境を越える野鳥を通じた感染の可能性も指摘されているが、感染源はなお不明だ。

 鶏肉や卵を通じた人間への感染例はないが、牛肉やコイなど「食の安全」にかかわる問題が次々に表面化していることもあり、風評被害を心配する声も相次いだ。

 「韓国を訪れた従業員もいないのにどうして」。鳥インフルエンザが確認された山口県阿東町生雲中の「ウインウインファーム山口農場」の斎藤健夫代表(59)は「韓国での発生後、消毒を強化していた矢先の感染。人を介した感染は考えにくい。驚いている」と言葉少なに語った。

 感染ルートについて、専門家の間では、海外でウイルスに感染した鳥のふんが何らかの形で養鶏場に入り込んだか、感染した渡り鳥によってウイルスが運ばれたのではないか、との見方もある。

 この日午後、山口農場の周辺では、白い防疫服やマスク姿の県職員2人が「立ち入り禁止」の看板を設置し、一般車両の通行を規制。約10キロ離れた別の養鶏場の担当者は「韓国での発生は知っていたが、まさかこんな近くで起きるとは。出荷できなくなれば死活問題だ」と不安を訴えた。

 山口農場から1日約1500キロの卵を仕入れていたJA山口たまごセンター(山口市)は県内の納入先に自主回収を求める文書を通知。職員が店舗を巡回して、卵の撤去を呼びかけた。県内のスーパーでも、店頭からの撤去が始まった。

 先月、韓国での発生を受け、全国の養鶏農家でつくる「日本養鶏協会」(東京都中央区)は、農家や関係者に対し、韓国への不急・不用の旅行は自粛を要請。韓国からカモなどの渡り鳥が多数飛来する山口、鳥取、福岡、熊本など7県では、鶏への感染の有無を確認するため、養鶏場から鶏のサンプルをもらい、鳥取大で検査している最中だった。

 厚生労働、農水両省は「生きたトリとの接触で、人への感染例はあるが、食品を通じて感染することはない」と説明しているが、韓国では鶏肉価格が急落し、生産や消費への影響が出ており、風評被害を心配する声もあがっている。

 協会の島田英幸専務理事は「日本に侵入しないよう気を使ってきただけに残念だ。1番心配なのは風評被害。消費者に卵や鶏肉は安全だということを理解してもらうようアピールしていくしかない」と話した。

 卵加工メーカーなどでつくる「日本卵業協会」(東京都中央区)でも「感染が拡大すれば、卵の流通や消費にも影響がでてくる」と心配している。

 ◆「きちんと説明を」「感染の心配ない」◆

 前全国消費者団体連絡会事務局長で、食中毒など雪印乳業をめぐる一連の不祥事の後、社外取締役として再建の監視にあたっている日和佐信子さん(67)は「例えば、BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)の場合、食べてはいけない部位は分かっており、それを除去する体制が整っていれば問題ない。

 鳥インフルエンザでも、何が危ないのかというリスクの実態と、それに見合った合理的な管理が行われているかどうかを政府は明確に示すべきだ」と指摘。「人への感染の危険性や安全の確保の方法などについて、きちんとした説明がなければいたずらに不安が広がる結果になる」と話している。

 インフルエンザウイルスに詳しい東大医科学研究所の河岡義裕教授(48)は、「養鶏場の鶏をすべて処分し、鶏卵を回収すれば、一般市民がこのウイルスに触れる機会はなくなる。今回はそうした措置が取られたので、市民が感染を恐れる心配はない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040112ic24.htm