2004年01月12日(月) 03時08分
温泉の効能を数字で判定、来年度データ収集に着手(読売新聞)
温泉が体によいと言われる理由を科学的に実証し、泉質と療養効果の因果関係などを判定する基準を作ろうと、第一線の研究者らが取り組むことになった。
経済産業省の外郭団体、民間活力開発機構(東京)による事業で、来年度は、病気を抱える温泉利用者を対象に、効果を数値化するなどして基礎データを集める。
基準作りを進めるのは、東大医科学研究所や日本温泉気候物理医学会・温泉療法医会の医師など。手始めに、神奈川県箱根町・強羅地域にある旅館、温泉施設などの協力を得ることにした。
「強羅を選んだのは、首都圏に近く、1地域で様々な異なる泉質の温泉がわいているため」と、同機構理事長の里敏行さん。
具体的には、高血圧や糖尿病などの病気を抱える温泉利用者に、温泉浴、プール運動、食事療法などの療養プログラムを実施。そのプログラムの実施前後の血圧や血糖値などを調べ、温泉の療養効果を測定する。
さらに、プログラム内容と泉質、改善効果などの因果関係を数値化し、「この症状(病気)には、この温泉でここまで効きそう」といった判定基準を作る。来年度は約6000人分のデータを集める予定。
同機構は、温泉地活性化策の一環として「温泉療養ネットワーク事業」を進めている。温泉療養に詳しい医師418人、温泉地のホテル・旅館584施設が参加するネットワークを組織化しており、今回の基準作りに活用することにした。
里さんは「昔から温泉は体によいと言われてきたが、科学的に実証するのは初めての試みだと思う。海外の研究機関からも共同研究の申し出があり、温泉療養の国際的な基準を目指したい」と話している。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040112-00000501-yom-soci