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学生同士で「いいアルバイトがある」「年収一千万円も夢ではない」などと言葉巧みに勧誘、学生ローンで借金させて商品を買わせるのが手口だ。就職が決まらない学生が金もうけや起業家意識から簡単に入会して、大きな被害を受ける。
販売組織の加入者に、新たに別の者を誘えば利益が得られると勧誘させて、組織を拡大することから、「ピラミッド式販売方法」とも呼ばれる。組織に入る条件として十万円から三十万円の健康食品や化粧品を買わせるケースが大半だ。
国民生活センターによると、マルチ商法に関する十八歳以上の学生からの相談は二〇〇二年度で千百五十六件で、前年度より三百四十一件増えた。〇三年度も十月までで七百件を超え、増加の一途だ。中でも、東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県の消費生活センターに寄せられた相談は計四百七十三件に上り、特に神奈川県の増加が著しい。
「自分が契約し、友人を誘おうとしても誰にも相手にされない。多額のローンだけが残った」「喫茶店で深夜までしつこく勧誘されて契約してしまった。解約したい」。こんな相談が相次いでいる。
学生が飛びつく理由の一つは「ネットワークビジネス」という呼称で将来性のあるビジネスと勘違いするところにある。被害は北海道から沖縄まで全国の大学に広がっている。
信州大学(長野県松本市)は昨年十二月、専門家を招き、県内の四つのキャンパスにも同時中継で注意を促した。神奈川県内の三十八大学の学生課長で構成する協議会も悪徳商法の研修会を開き、意見交換した。
この種の商法は、過去に繰り返し社会問題となった。規制する法律がいくら改正されようとも、巧妙にくぐる手口が編み出される。
変わらないのは、うますぎる話にいとも簡単に乗ってしまうパターンだ。最近はめったに会わない友人にメールで勧誘するケースが目立つ。友人同士でも金銭を伴うやりとりには厳しく対応することや自らの行為に責任を持つという自覚が大切だ。
ほぼ四年で学生が入れ替わる大学はマルチの格好の標的だ。仕組みは合法でも、行為は虚偽に満ちている。規制強化の法改正が急がれるが、大学側も事態をしっかり受け止め、対策に万全を期してほしい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040112/col_____sha_____003.shtml