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【牛タン事情】
農水省によると、国内産の牛タンはわずか0.18万トン(平成14年度)にすぎず、輸入量はその26万倍の約4万7000トン。なかでも米国産が3万6000トンで、日本人が口にする牛タンの7割以上が米国産なのだ。欧米や豪州に牛タンを食べる習慣はなく、大半は日本と韓国で消費されている。
牛1頭から取れる牛タンは約1.5キロで、年間2400万頭分の米国産の牛タンが日本に来ている計算になる。国内在庫はあと約1カ月分しかなく、来月には底をつく見通しという。
米国産以外の1万1000トンは豪州、ニュージーランド、カナダ産だが、昨年5月のBSE発生でカナダ産も禁輸となっている。食肉各社は、豪州からの牛肉調達を拡大しようと躍起になっている。が、豪州では2年前の干ばつ以来、肉用牛の飼育頭数が減少気味で、はたして間に合うかどうか。
政府は米国に対し、日本輸出分の全頭検査を求める考え。仮に米国が全頭検査に踏み切ったとしても、牛タンのために2400万頭もの検査に応じるとは考えにくく、「牛タンは危険性が極めて低い部位だが、輸入牛すべての全頭検査を求める以上、輸入再開後も個々の部位まですべて調達するのは難しい」(農水省)と打つ手なしの状況だ。
【本場仙台現状】
こうした中、牛タンが名物の仙台市内では、「来てもらうお客さんに出すものがなくなる」とため息がもれている。
2年前、国内第1号のBSE感染牛が確認された際、同市内で約60あった牛タン店は約1年で10数店が姿を消した。そのとき以来の大ピンチで、「仙台で牛タンを食べられなくなると楽しみが一つ減る」(月に1度、仙台に出張するという都内の会社員)との声も。
幸い、昨年末の米国でのBSE発生前に大量に仕入れていたため、各店とも2、3カ月分の在庫があるという。ただ、ここにきて豪州産牛タンの卸売価格が2倍以上に急騰している。老舗「利久」の亀井利二社長は「在庫が切れると、売れば売るほど赤字になる」と顔を曇らせる。
【外食産業】
一方、焼き肉専門店なども対応に大わらわだ。
焼き肉チェーン「牛角」を展開するレインズインターナショナルは、牛カルビとロースの原料肉が国内で調達できたため、3月末まで従来通りの営業を継続すると発表した。4月以降も、ロースとタンはすでに6月分までの必要量を確保。他の肉についても調達に努め、可能な限り、通常営業を継続するという。
ダイエー系のステーキ専門店チェーン「フォルクス」は、2月1日以降、米国産牛肉を豪州産に切り替える。それに伴い、厚切りのサーロインステーキ(300グラム)の値段を現行の2380円から2700〜2800円に15%程度値上げするという。
米国のBSE騒動余波は当面続きそうだ。
ZAKZAK 2004/01/10