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2004年01月10日(土) 21時59分

法科大学院、授業料も「ロー」 優秀な学生獲得で値下げ朝日新聞

 今春開校する予定の法科大学院(日本版ロースクール)の有力校が軒並み、赤字覚悟で授業料を下げている。全額免除の大学もあり、志願者数が値下げに引きずられる面もある。新司法試験の合格者数が、大学の評価に直結するだけに、各校は優秀な学生獲得に余念がない。ただ、併願している受験生も多く、値下げ効果ははっきりしない面もある。各校ごとの2次試験は、10日から本格化する。

 昨年末に固まった来年度予算案で、私立の法科大学院支援に25億円が盛り込まれた。多くが授業料を150万円から200万円の間に見積もっている私立と、国立80万4000円との格差を小さくするためだ。

 その直後、日本大が定員100人のうち、40人について100万円の授業料を免除すると発表した。昨年10月に174万円から133万円に値下げした法政大(定員100人)は、108万円へと再度の値下げを敢行した。いずれも、受験生からの反応は上々だという。

 予算案が固まる前に値下げを実施している大学も少なくない。大きな衝撃を呼んだのが定員300人の中央大だ。授業料140万円について、成績優秀者30人を全額免除、200人を半額にする破格の値段を提示した。

 「赤字覚悟。穴埋めは大学全体でバックアップする」と開設準備室。「法科の中央」と言われ続けてきたが、ここ数年、司法試験合格者数が伸び悩んでいる。新司法試験の初年度で実績を残すために優秀な学生を確保し、復活を印象づけたい戦略だ。実際、値下げ発表後、出願状況は5割増し。「相当のインパクト」があったという。

 成績優秀者40人について120万円から136万円の授業料を全額免除する慶応義塾大は、定員260人に対し、約2200人が出願。195万円から120万円に値下げした早稲田大では、定員300人に対し、約4500人(1次選考)が出願するなど、有力大学では10倍前後の高倍率になっている。

 関西の有力私大の「関関同立」の4大学でも、同志社大が30万円の値下げを発表すると、関西、関西学院、立命館の3大学が2日後に追随した。「一人勝ちするつもりかとの声も聞こえた」(同志社大)、「前から検討していたが、他を気にせざるを得ない」(関西大)といった具合だ。

 ここまで各大学が必死なのは、法科大学院の実績が、大学全体のイメージアップに直結するからだ。日本弁護士会連合会の関係者の間では、「学生の負担を考えれば、授業料が安くなることは歓迎だが、無理な競争はあまり好ましくない。学部教育へのしわ寄せも心配だ」という声もある。

 ただ、志願者数について、全試験が終了するまで公表しない大学もある。大手予備校では「複数の大学に願書を出している受験生も多い。試験日が集中しているため、志願者と実際の受験者の格差が浮き彫りになるのを避けるためではないか」とみている。

 法科大学院は今年4月、国公私立68校(2校は審査手続き中)が開校する予定だ。進学希望者を対象にした適性検査は、募集定員約5600人に対し、約3万5000人が受験している。

(01/10 21:59)

http://www.asahi.com/national/update/0110/027.html