2004年01月07日(水) 14時37分
「脱法ドラッグ」規制へ…都が品名公表、販売自粛要請(読売新聞)
健康被害の恐れがありながら法律による規制の対象外となっている「脱法ドラッグ」について、東京都は7日、専門家で構成する委員会を新年度から設置し、薬事法違反に該当しない場合でも、人体への影響を判断したうえで、独自に製品名の公表や販売自粛要請などの指導に乗り出すことを決めた。
野放しに近い状態になっている脱法ドラッグの売買全般に、行政が指導の網をかぶせるのは全国でも初めて。都では、将来的に条例で規制することも検討している。
脱法ドラッグは、幻覚・催眠作用があるなどと称して販売されている商品の総称。合法ドラッグとも呼ばれ、ドリンク剤や錠剤、芳香剤がある。
都では、化学や病理学の研究者など外部の専門家ら10人程度による委員会を健康局内に設置、実際に出回っている脱法ドラッグの成分を分析し、多幸感や幻覚・催眠作用などの有無を判断する。すでに法律で規制されている麻薬や向精神薬と同様の効果がある製品については、製品名の公表や販売自粛指導を行う方針。
都健康局によると、都内の繁華街のアダルトショップや輸入雑貨店などでは、脱法ドラッグを1000円—1万円程度で販売。同局が確認しているだけで、販売している店舗は100軒を超えており、インターネット上の取引も盛んに行われている。
これまでも都は年2回、脱法ドラッグの買い取り調査を実施。薬事法で指定された成分が見つかった場合は、「医薬品の無許可販売」として販売中止や回収を指導しているほか、都のホームページで該当する商品名などを公表している。
しかし、薬事法違反となる成分が含まれていない場合、麻薬や向精神薬と同様の効果があっても、規制はできなかった。また、脱法ドラッグの中には、麻薬取締法で指定されている物質と化学構造が類似しているものが多いと見られるものの、構造が完全に一致しない限り、同法でも規制できない。
実際、昨年6月の調査では、都が買い取った25品目のうち12品目が「健康被害の可能性があるが、今のところは取り締まることができない」として、放置された。
◆幻覚で事件死亡する例も◆
脱法ドラッグは数年前から若者を中心に広まったが、強い副作用があり、乱用によって死亡するといった健康被害や、摂取した人が事件を引き起こすなどの問題が相次いでいる。
2002年に麻薬取締法による規制対象に加えられた幻覚キノコ「マジックマッシュルーム」を巡っては、1998年7月に東京都内の女性(19)が大量に摂取して死亡。2001年4月には東京都内で若手俳優が幻覚症状を起こして暴れる騒ぎが起きた。また、同年12月には、脱法ドラッグを飲んだとみられる少年(16)が、老人に包丁とスタンガンを突きつける事件が都内で起きた。
都健康局では「こん睡強盗など犯罪に悪用されたり、麻薬や覚せい剤など不正薬物乱用のきっかけになったりする危険性もあり、もはや野放しにはできない」としている。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040107-00000408-yom-soci