2004年01月05日(月) 00時00分
医療事故、97年以降6件/県立中央病院(朝日新聞・)
県立中央病院(防府市)で97年以降、6件の医療事故が起きていた。事故が起きた際の公表基準の策定を求める三重県内の市民団体「NPOみえ医療ウォッチング」(畑中英樹代表)が、山口県へ情報開示を請求して分かった。3件は未公表。県は「基準作りの検討を進めており、今年度中に策定したい」と話している。
畑中代表によると、昨年11月、県情報公開条例に基づいて請求し、6件の医療事故=
表=の報告書や示談書が部分開示された。いずれも院内の「医療過誤・事故対策本部」が病院側の責任を認めている。
県の条例では、損害賠償額が300万円を超える場合は議会に報告、500万円超は議決が必要と定められている。3件は議会への報告などがなかった。県医務課は「故意はなく、影響が重大でない」としている。未公表3件の事例は次の通り。
(1)98年10月、大腿(だいたい)動脈交差バイパス手術後に腹部にピンで固定していた管(直径8ミリ、長さ10センチ程度)が体内に入り込み、病院側が気づかず3年半放置。02年4月に患者側から申し出があり、別の病院で摘出。03年3月に示談が成立した。
(2)02年11月、椎間板(ついかんばん)切除の手術中、メスを椎間板内に深く入れ過ぎ、大動脈を傷つけた。止血のため緊急開腹手術を実施し、入院が長期化。
(3)03年10月、股関節全置換手術で、血液を温める機械の温度設定を誤り、過熱した血液を輸血。患者が急性腎不全を発症した。
「NPOみえ医療ウォッチング」は昨年末、県に対し「医療事故公表基準の早急の策定を求める提言書」を提出、「基準は事故の再発防止につながり、説明責任を果たすことで医療の質の向上に役立つ」と求めた。
県医務課は「公開基準は透明性を高め、患者からの信頼を確保するために必要と感じている。家族の同意やプライバシー保護との調整などを検討している」と話している。
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県立中央病院の医療事故と損害賠償額◆
発生年 病院による報告 損害賠償
●97年 鼻の手術で局部麻酔が視神経に影響し失明 1780万円で示談(※)
●97年 変形性股関節症の手術でボルトが血管を圧迫し右足首に後遺症 500万円で示談(※)
●98年 大腿(だいたい)動脈交差バイパス手術後、安全ピン付き管が体内に残留 225万円で示談
●00年 虫垂切除手術後、経過観察不十分で膀胱(ぼうこう)機能障害に 850万円で示談(※)
●02年 椎間板(ついかんばん)切除の手術で大動脈を傷つけ、緊急開腹手術 示談交渉中
●03年 股関節全置換手術で過熱した血液を輸血し、急性腎不全を発症 示談交渉中
(※は議会報告や議決済みの事案)(1/5)
http://mytown.asahi.com/yamaguchi/news02.asp?kiji=3619
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