2004年01月05日(月) 03時06分
<化学物質過敏症>影響少ない教科書モデルを研究 文科省(毎日新聞)
微量の化学物質で体調が崩れる化学物質過敏症(CS)が原因で教科書を読めない児童・生徒に対応するため、文部科学省は影響の少ない教科書モデルの研究に乗り出した。「授業を受けたくても受けられない」という子どもたちの切実な訴えが、学校などを通じて国を動かした形だ。
研究は、教科書の出版社でつくる教科書協会(56社加盟)を中心に、印刷、製紙、医学、教育の専門家でつくる「教科書改善のための調査研究委員会」が実施する。
CSの児童らは教科書を開くたびに頭痛や吐き気、鼻血、目の痛みなどの症状が出る。文科省などによると、02年以降、「色刷りの教科書を使わずに、校長室で1人で勉強している児童がいる。改善してほしい」などの訴えが小・中・高校計23校から同協会にあった。影響するものは個人差があり、表紙のコーティングや光沢部分、接着剤などさまざまだ。
これに対し、同協会は教科書をコピーしたものを29人の児童・生徒に渡すなどして対応した。また、1〜2カ月程度、教科書を天日干しすると効果があることが分かった。
こうした成果を踏まえ、委員会は来年度向けに作成中の教科書からサンプルを取り、教科書が放散する化学物質と、その影響を詳しく調べる。輸送・流通過程で付着する可能性がある化学物質の影響も調査し、CSが発症する可能性が最も低い教科書のモデルを来年度中に探る。【大島秀利】
教科書協会の三谷悦央・主査の話 教科書を読めない子どもを早急に少なくしたい。委員会から素材変更の忠告があれば、可能な限り参考にしたい。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040105-00000091-mai-soci