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健康な乳幼児の5.6%が抗生物質の効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を持っていることが順天堂大医学部の平松啓一教授(細菌学)らの調査で分かった。見つかったMRSAの7割は、市中獲得型と呼ばれる新型だった。乳幼児の間では薬の効きにくい「とびひ」(皮膚に水ぶくれができるなどしてかゆくなる病気)が増えており、その原因になっていると見られる。
市中獲得型MRSAの日本での広がりの実態が明らかになったのは初めて。平松さんは「風邪などで抗生物質を服用しているうちにできたと考えられる。今後毒性の強い菌が出てくる可能性もあり、監視が必要だ」と話している。
平松さんらは宮城、京都、佐賀の3府県で1カ所ずつ保育園か幼稚園を選び、6歳未満の918人の鼻の粘液に含まれる細菌類を調べた。その結果、28%に当たる257人から黄色ブドウ球菌が見つかり、うち51人のがMRSAだった。遺伝子配列の解析をすると、7割が市中獲得型に特有な遺伝子を持っていた。
黄色ブドウ球菌は健康な人の約3割が皮膚や鼻の穴の中に持っており、傷を化膿(かのう)させたり、とびひの原因になったりする。通常、抗生物質がよく効くが、抗生物質に対する耐性遺伝子を持つとMRSAと呼ばれる。
MRSAは病院内で、肺炎や敗血症などの原因になる。多量の抗生物質が使われる入院患者や病院関係者以外から見つかることはほとんどないと考えられてきた。
しかし、米国やオーストラリアでは10年ほど前から入院歴のない人にもMRSAが見つかるようになった。病院で見つかる従来型と区別して市中獲得型と呼ばれる。抗生物質への耐性はそれほど強くないが、増殖するのが速く、強い毒性を持ちやすい。米国では99年に4人の子どもが肺炎を起こして死亡している。
国内ではここ数年、抗生物質が効きにくいとびひが相次いで報告されており、「市中獲得型が原因になっている可能性が高い」と平松さん。とびひの患者の半数からMRSAが見つかったとの報告もある。この報告では、従来型か市中獲得型かは調べていない。(01/03 15:45)