2004年01月01日(木) 03時08分
オウム・松本被告弁護団、来月1審判決後に全員辞任へ(読売新聞)
地下鉄、松本両サリンなど13事件で殺人罪などに問われているオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫被告(48)の弁護団12人全員が、2月27日の1審判決後、辞任する意向を固めていることが分かった。
松本被告の弁護人選任は当初から困難を極め、東京の3つの弁護士会が苦心して弁護団編成にこぎつけた経緯がある。控訴審を見据え、既に弁護士会の一部では新たな弁護人の引き受け手を探しているが、人選は難航しそうだ。
松本被告の初公判は当初、1995年10月に予定されていたが、前日になって被告が私選弁護人を解任したため、東京地裁が東京の3弁護士会に国選弁護人の候補者推薦を依頼した。
各弁護士会では、弁護人がなかなか付かない難事件に備え、「特別案件」名簿に弁護士をリストアップしているが、松本被告の場合、3弁護士会の名簿に載っていたほぼ全員が拒否。弁護士会の副会長らが個別に説得し、12人が国選弁護人に選任され、96年4月の初公判にたどり着いた。
弁護団は月3—4回の公判に立ち会い、週1—2回、準備のための会議を開いてきたが、各弁護人からは、〈1〉松本公判のためだけに膨大な時間をとられ、他の弁護士業務ができない〈2〉収入が激減し、控訴審も続けると自分の事務所の維持が困難になる——などの“悲鳴”が上がっていた。
また、松本被告が96年10月ごろから弁護人との接見を拒否。弁護側の冒頭陳述や最終弁論も、被告の数少ない法廷供述を基に無罪主張を理論構成せざるを得ないなど、厳しい弁護作業を強いられた。このため、「被告本人と意思疎通できず、国民からも評価されない弁護活動はやりたくない」との声が強まっていた。
弁護団は現在、国選11人のほか、私選の安田好弘弁護士(56)がいる。安田弁護士は自らが強制執行妨害罪で逮捕・起訴(1審無罪、検察側控訴)されたために国選を解任されたが、その後も私選で主任弁護人として弁護団に残っている。このため同弁護士の動向が注目されていたが、「最近の松本被告の裁判記録を読んでいない。自分の裁判が継続しているのに、控訴審で再び弁護人を引き受けるのは違和感がある」と辞任する意向を示した。
松本被告が求刑通り死刑判決を受けた場合、弁護団では、被告の意思を確認できなくても控訴する方針。
しかし、1審だけで既に延べ522人の証人に1000時間以上の尋問が行われており、控訴審から新たに担当すると、膨大な記録に目を通さなければならない。弁護士会幹部の1人は「引き受け手を見つけるのは大変な作業になるだろう」と話しており、今後、控訴審の弁護団編成が大きな焦点となるのは必至。弁護人不在のまま公判を開くことはできないため、人選が難航すれば控訴審の開始が遅れる可能性もある。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040101-00000302-yom-soci