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2003年12月30日(火) 00時59分

高精度検査すり抜け、輸血患者がHIV感染読売新聞

 エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液が今年5月、日本赤十字社の高精度検査をすり抜け、この血液を輸血された患者がHIVに感染していたことが29日わかった。

 1999年の高精度検査導入以降、HIVのすり抜けは2例目だが、患者への感染が確認されたのは初めて。日赤は追跡調査の結果を厚生労働省の血液事業部会運営委員会に報告し、検査精度の向上や、献血時の身元確認など4項目の再発防止策を発表した。

 日赤によると、5月の献血は、高精度検査で陰性(感染なし)と判定され、医療機関に出荷されたが、同じ献血者が、約半年後の先月、再び献血した際には一転して陽性と判定された。この結果、5月の血液がウインドー期間にすり抜けた疑いが浮上し、今月の再検査でウイルス遺伝子が検出された。5月の血液は、回収できた分もあったが、一部は夏ごろに患者に輸血されていた。

 日赤と患者を治療した医療機関は、感染の事実を患者に伝えた。患者は早期のエイズ治療が可能な専門病院で治療を受ける見通し。適切な薬物治療により、多くの場合、エイズの発症は防ぐことができるという。

 同日の運営委員会で日赤は、再発防止策として<1>1度にまとめて行う高精度検査の対象人数を50人から20人とし、8か月程度で精度を向上させる<2>献血時に氏名や連絡先を偽る人は、そうでない人より感染症を持つ危険が高いとみられることから、献血時に運転免許証などで身元を確認する——など4項目を表明した。

 HIVの1例目のすり抜けは昨年夏に起きたが、輸血には使用されず、感染被害はなかった。高精度検査導入以前は、すり抜けた血液の輸血で、計3人の患者の感染が報告されている。

 厚労省は今年6月、すり抜けの恐れがある血液に対する日赤の追跡調査が不十分として、調査の徹底を指示。その結果、B型、C型肝炎ウイルスのすり抜けが相次いで確認されていた。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031229-00000111-yom-soci