2003年12月26日(金) 20時19分
読売記事での名誉棄損訴訟、小林興起議員の請求を棄却(読売新聞)
自民党の小林興起衆院議員が読売新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、読売新聞東京本社に2000万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。綿引万里子裁判長は記事内容が真実だったと認め、小林議員の請求を棄却した。
訴えの対象となったのは、「中国人女性入国審査 小林興議員(自民)側が口利き 職安法逮捕の容疑者の依頼で客室係を通訳扱い」との見出しで2001年8月22日の読売新聞朝刊が掲載した記事。
記事の内容が真実かどうかが争われたが、判決は、<1>逮捕された容疑者が小林議員に働きかけを依頼した<2>これを受け、小林議員の私設秘書(当時)が法務省に働きかけを行った<3>小林議員は秘書の行動を通じ、政治家としての影響力を行使した働きかけを行った——と認定した。
そのうえで、「単純労働の客室係が通訳の在留資格を認められたのは、政治家の働きかけがあって初めて実現可能なことというべき」と指摘、「妥当性を欠く入国審査が行われたのは、秘書を通じた小林議員の働きかけの影響があったためとみるほかない」と述べた。
この記事は、警視庁が摘発した職業安定法違反事件の関連で掲載された。逮捕された容疑者は全国の旅館やホテルに200人以上の中国人女性を無許可であっせんしたが、客室係などの単純労働では本来、入国できないのに、女性らは通訳の在留資格で入国していた。
裁判で小林議員側は、容疑者が依頼したのは別の国会議員だった、法務省に働きかけた人物は当時小林議員の秘書をやめていたと主張したが、判決はいずれも採用できないと退けた。
◆読売新聞東京本社広報部の話「当社の主張が全面的に認められており、妥当な判決と考えています」
◆小林興起事務所の話「判決は、違法なことを知っていながら口利きしたのではないという事実を認めてくれたものと思われる。判決は、読売の記事はそういう事実を報道したものではないといっているが、実際に読者がどう読むか考えると納得できない」(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031226-00000512-yom-soci