悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
【在庫は1カ月】
農林水産省によると、牛肉の在庫は約8万トン。年末年始で牛肉の需要は高まるものの、約1カ月間の国内消費はカバーできるという。
米国産牛肉は国内消費量の26%、輸入牛の45%を占め、年明けから品薄になるのは確実だ。
同省はBSE対策本部会合(本部長・金田英行副大臣)で、米国産牛肉の輸入停止措置に伴い、国内で牛肉の便乗値上げなどが起こらないよう、1カ月に1度の価格動向調査を1週間ごとに短縮して厳重監視する。
【輸入再開の例なし】
BSE発生国から輸入を再開した前例はなく、停止措置が長期化するのも確実である。
日本は肉骨粉による狂牛病騒動で英国など22カ国からの輸入を禁止し、解除した例はない。
米国大使館の主席農務官の説明だと、BSE感染の疑いがある牛肉は日本に輸出されていないが、輸入再開の見通しやその条件に「現時点で明確なことはいえない」(中川坦消費・安全局長)と明言を避けた。
農林水産省は米国からの輸入停止が長期化する事態に備え、BSE未発生国のオーストラリアとニュージーランドからの代替輸入拡大の可能性を調査するため、両国に担当官を派遣する。
【つぶれる店も】
米国牛を多く使う牛肉チェーン「吉野家」展開の吉野家ディー・アンド・シーの安部修仁社長は「牛丼に使う牛バラ肉はBSEに関係ない部位で、安全性に一点の不安もない」と風評の打ち消しに躍起である。
「すかいらーく」や「ロイヤル」などは、米国産牛肉の代替メニューの検討を始めた。焼き肉店はコリアタウンでの影響は必至の情勢である。
昨24日夜、東京・赤坂周辺の焼き肉店主は「体力のない店はつぶれるだろう。うちは年内は大丈夫だが、来年は分からない」と話す。
【敏感な消費者】
24日夕、東京・目黒の大手スーパーを訪れた主婦(65)は「もう国産牛しか買わないことにした。友達も同じことを言っていた」と話す。
買い物を終えた主婦(47)は意外にも「気にしていません。1頭だけと聞いていますし…。日本でBSEが出たときは買い控えたけど、それは国産牛だったから」と冷静な口調で話した。
無職の男性(61)は「騒ぎ過ぎ。私は日本でBSEがあったときも買い控えはしなかった。気にしていたら何も食べられない」と話した。
24日夜、JR新宿駅西口近くの大手牛丼チェーン店はほぼ満席状態。男性会社員(26)も「全く気にしない。好物だから。やめない」と騒動を意に介さない様子。
自営業の男性(72)も「アメリカのBSEは知らなかった。今後は焼き肉の食べる回数を減らす」と驚いていた。
【化粧品にも影響】
厚生労働省は牛が原料の化粧品について、関連業界が米国からの輸入を自粛し、原料調達をBSE未発生国に替えたり、ブタなど牛以外の原料を使うよう指導する。
カナダで今年5月、BSE感染牛が発見された際は、約2000品目が自粛の対象になった。
医療品も血糖値を下げるインシュリンや消化剤に使う胆汁エキス、コラーゲンを抽出するための皮膚など、牛を原料にするものが少なくない。
化粧品から人間がBSEに感染した例は現在、世界的にも報告されていないが、利用実態を調査するという。
【流通業界】
小売り各社は「これから歳末商戦がヤマ場を迎えるというのに…」と困惑を隠せない。
大手スーパーの「イオン」は米国牛を店頭から撤去、当面は販売中止する方針を打ち出した。
イオンは「詳細な状況が判明するまで販売を見合わせる」(広報)。首都圏が地盤の中堅スーパー「サミット」も米国牛を引き上げた。
ダイエーや西友、イトーヨーカ堂などは販売を継続する。
今回、問題視されているのは「ワシントン州で飼育されたホルスタイン種」だが、ダイエーは「当社のは米カンザス州で飼育された牛で品種もアンガス種とヘレホード種だけ」(広報)。
西友も飼育地や品種が問題の牛とは異なるとして、「関連性は薄い」(同)という。
【食肉加工業界】
食肉加工業界も「年末から年始は牛肉需要のピーク。品薄の影響は大きい」(丸大食品)と不安を隠せない。
輸入牛肉全体の3−4割が米国産という日本ハムはオーストラリア産などへの切り替えを急ぐが、「本格的な補充は新年から。年内調達は間に合わない」という。
伊藤ハムでは「品薄で価格が上がり、売り上げに響く可能性がある」とみている。
【価格転嫁】
日本チェーンストア協会の川島宏会長(東急ストア会長)は24日、「消費者心理が冷え込むのを懸念している。消費者に価格上昇の形で転嫁されるのは、やむを得ない」との見解を示した。
流通業界の関係者は「消費者離れを心配する一方で、品薄で牛肉が便乗値上げされる恐れが高い。それに心配なのは、米国牛を国産牛だとかオージービーフだと再び、偽装表示が起きる可能性がある」と警告する。
【あまり影響ない】
日本中が大騒ぎのなか、この方のノー天気ぶりは相変わらず。また丸投げを決め込んだ。
小泉純一郎首相は24日夕、米国で感染牛が見つかったことに「国民不安のないよう農水省、厚生労働省にしっかり対応するよう指示してある。日本は経験があるわけだから、あまり動揺はないと思う」と述べた。
ZAKZAK 2003/12/25
http://www.zakzak.co.jp/society/top/t-2003_12/1t2003122517.html