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横浜に初の牛鍋屋が開店したのは文久二年(一八六二年)のことという(近代日本食文化年表・小菅桂子)。百五十年足らずで日本の食生活は一変した◆高村光太郎の詩〈米久の晩餐(ばんさん)〉は大正の作。牛肉の消費は今よりうんと少なかった当時、すでに〈八月の夜は今米久にもうもうと煮え立つ……〉と、東京・浅草の牛鍋屋の盛況がうたわれている◆今なら焼き肉屋のエネルギーを思えばいい。その旺盛な食欲にBSE(牛海綿状脳症=狂牛病)がまたぞろ水をさしそうだ。今度は米国で感染の疑いの強い牛が確認された◆国内の感染騒ぎから二年余、小泉首相は「経験があるから、あまり動揺はないと思う」というが、政府、業界、消費者のそれぞれに適切で冷静な対応が求められる◆個人によっては不安なら食べないですむが、何せ米国産牛肉は日本の国内消費量の三割を占める。安全第一で輸入は停止。在庫は一か月分あるというが、品薄や価格高騰の不安に十分な対応を願いたい◆〈いかにも身になる山盛り牛肉を〉と光太郎の詩のごとく牛肉を礼賛できるように。