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2003年12月23日(火) 20時56分

韓国カード地獄、滞納でブラックリスト228万人読売新聞

 【ソウル=豊浦潤一】韓国でクレジットカード代金の返済滞納者が急増している。景気低迷や若者の過消費が原因だが、カード奨励策を推進した政府やカードを乱発した銀行などの責任も問われている。

 多重債務者の救済に当たるソウルの「信用回復委員会」は、待合室からエレベーターホールまで肩を落とした債務者であふれていた。電話回線はパンク状態で、1日中つながりにくい。

 尹秉黙・審議管理チーム長は、「過去1年で5万人を支援したが、今も1日約1000件の相談がある。職員を20人から150人に増やしたが滞納者の増加に追いつかない」と悲鳴を上げた。

 同委員会が救済した流通業男性(34)は98年、勤務先の中小企業を整理解雇され、流通業に転じたが運転資金を複数のカードで借りた金で穴埋めするうち、借金は5000万ウォン(1ウォン=約0・1円)に膨れ上がったという。

 30万ウォン以上のカード代金を3か月以上滞納して金融機関のブラックリストに登録された債務者は、10月末現在、約228万人。経済活動人口の約1割に相当する。韓国紙などの先月末の原因調査では、「事業失敗」や「生活苦」など「不景気型」が計66・9%。これに、「浪費」(14・3%)が続く。

 同委員会が、金融機関との仲裁に立って元金・利子の減免などを行う救済対象は、病気などで一時的に返済不能となったケースだけ。大部分は督促を受け続ける。インターネットには、督促を避ける方法を紹介するサイトが続々登場している。

 金融機関も債権回収に必死だ。カード会社8社の今年1月—9月の累積赤字は、総額4兆ウォンに膨らみ、会員1000万人以上で業界最大手の「LGカード」は先月、資金難で3日間現金ローンの停止に追い込まれた。

 「カード負債は誰のせいか」(10日付文化日報)。韓国メディアは、政府の責任も追及。監査院は10日から、政策の失敗なのか金融機関に対する監督不足だったのか調べるため、金融監督院や財政経済省を対象に政策監査を進めている。

 滞納者問題の発端は、金大中前政権が、飲食店などの脱税防止や消費刺激を狙って導入した大胆なカード奨励策にある。99年から、利用額に応じて所得税を控除したり、領収証に宝くじを付ける制度を導入。現金ローンの限度額規制(月70万ウォン)も撤廃した。

 これに便乗した金融機関は、会員獲得を競って街角で無収入の学生にも発行した。金融監督院によると、現在国内のカードは2000年末から倍増して約1億枚。1人が4枚を持つ計算だ。1—9月のカード利用実績は、395兆ウォンに上る。

 だが昨年後半からの景気後退で滞納者が増え始めると、政府は不良債権を減らす規制に乗りだし、金融機関は相次ぎ利用限度額を引き下げた。カード利用の半分以上が現金ローンだったが、複数のカードで返済をやりくりしていた利用者が行き詰まった。

 サムスン経済研究所の全暁賛研究員は、「利用限度額の制限で消費の足は引っ張られ、景気悪化はさらなる滞納者を生む悪循環にある」として、当分滞納者は増え続けると予測する。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20031223i311.htm