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2003年12月22日(月) 00時00分

東京ホテル大戦争…外資五つ星Vs国産老舗マンダリン、リッツ、ペニンシュラ…1泊4−5万円ZAKZAK


外資の「5つ星」ホテルが次々と上陸、老舗など国産ホテルとの『東京ホテル戦争』が本格化した 資産デフレのなか、槌音(つちおと)高く進む汐留、品川、六本木など首都圏の大規模再開発。オフィスの供給過剰による空洞化の『2003年問題』の次は、外資系ホテルの進出ラッシュによる『2007年問題』が目前に迫る。マンダリン、リッツ、ペニンシュラ…。世界に名だたる「5つ星」ホテルがなぜ今、上陸するのか。迎え撃つ国産ホテルの戦略は? 激化する『東京ホテル戦争』の内幕を探る。

 【女心をゲッツ!】

 戦争の火ブタは、今年4月オープンの米系「グランドハイアット東京」で切って落とされた。

 森ビルが17年の歳月を費やした巨大な再開発地域「六本木ヒルズ」。東京ドームの8倍という敷地の中核に位置する。

 客室は天井高が290センチと、多くの国産ホテルより40センチも高い。洗面台の液晶テレビや英国製ブランド物のシャンプー類…。備品に至るまでデザイン性が高い。海外VIPはむろん、女心をくすぐる気配りがみえる。

 最近の外資系ホテルは1泊4−5万円の価格帯が多い。この不況下、だれが利用するのか。

 【需要は2極化】

 山梨学院大商学部の土井久太郎教授は、JALホテルズや外資系のシェラトンなど20年以上のホテル実務経験を持つ。

 まず、「利用者は外国VIPばかりではない。実は客層の半分は普通の客」とした上でホテル業界の現状を語る。

 「東横インやルートインのように実用的な低価格路線と、非日常が味わえる超高級ホテルに2極化している。質素な生活で数千万円の家は買えないが、たまに5万円の部屋で非日常を味わいたい人が増えている」

 「ハリウッド女優気分になって、『年に一度、泡の風呂を思いっきり楽しむ』という主婦やOLの常連客もいる」

 【超高級外資がゾクゾク上陸】

 今年だけで大型ホテルが5つも開業した。来年以降は「スーパー・ラグジュアリー」(超高級)にランク付けされる外資系ホテルの進出ラッシュが続く。

 平成17年から20年までに、汐留地区に米ヒルトン系のコンラッド▽日本橋の三井本館再開発地区に香港系のマンダリンオリエンタル▽日比谷パークビル跡に香港系のザ・ペニンシュラ▽六本木の防衛庁跡に米系のザ・リッツ・カールトン…。

 都内ホテルの総客室数は現在約4万室だが、今後4年間で1割強の5000室増えるという。

 【客寄せパンダ】

 外資が土地を買い漁(あさ)っているわけではない。

 日本の場合、外資系ホテルのオーナーは、大半が国内企業。新宿のパークハイアット東京は東京ガス、恵比寿のウェスティンホテル東京はサッポロビールというように、運営委託契約を結んで日本進出する例が多い。

 下落しているといっても、外資にとって都心の土地までは手を出せないが、賃借契約なら結べる水準になったのだ。

 大手不動産の幹部が誘致のホンネを明かす。

 「日本側のデベロッパーにとって、外資系ホテルのブランド価値やサービスの質の高さは、街づくりの客寄せパンダとしての魅力がある」

 「公共性と高層を備えたホテルを再開発地区に併設することで、容積率緩和にも役立つ」

 【外資共倒れ?】

 外資系乱立で共倒れや淘汰(とうた)される心配はないのか。この幹部が続ける。

 「デベロッパー側が三顧の礼で外資系に入居してもらい、撤退してもホテル側は最小限の損害ですむ契約が多い」

 「むしろ、外資の大手チェーンが日本進出に成功して地盤を築き、次は国産の高級ホテルで体力の弱った物件を買収する。一気に外資、国産入り乱れての再編が始まる可能性もある」

 【メジャーリーグ級】

 迎え撃つ国産陣営。外資の何が脅威なのか。土井氏が指摘する。

 「日本の高級ホテルはバブル期、企業交際費が膨らんだ恩恵で宴会収入が総収入の7割を占めるほど伸びたが、その分、客室整備が遅れた」

 「外資系は客室に重点を置き、機能的で内装もセンスがいい。たたき上げの支配人は、茶碗(ちゃわん)1つ仕入れるにも、『この厚みなら2%は壊れる』と瞬時に分かるくらい経営感覚にたけている」

 メジャーリーグ級のプロが続々、来襲するといったイメージか。

 【『帝国の逆襲』に170億円】

 日本勢も静観してはいない。老舗の帝国ホテルは今月から5年かけ、20年ぶりに客室全面改修を行う。

 170億円を投じて客室数を約50室減らし、天井高の拡張やバスルームの充実など高級感を高める。ホテル事業統括部次長の山中左衛子さんがその意気込みを語る。

 「欧州で最も注目される英国人デザイナー、ジュリアン・リード氏がアジアで初めて、当ホテルの内装を手がける」

 「改修はまず16階のVIP向けフロアから順に着手する。外資系のように、全客室を広くするのではなく、海外賓客の随行者用など、多様な選択肢をご用意したい」

 厳重警備が必要な外国の政府要人の受け入れから一般客まで、豊富な経験とノウハウで、外資系にはない守備範囲の広さをアピールする。

 【ユニーク戦略のプリンス】

 国内最大級の3680室を擁する『品川プリンスホテル』が昨年4月、新棟のエグゼクティブタワーをオープンし、話題を集めた。

 10スクリーンの映画館や、ラスベガス級のショーが楽しめるクラブ、24時間営業のネットカフェ、ボウリング場などすべてホテル直営である。

 エンターテインメントをそっくり飲みこんだ形がウケて、「品川の人の流れが変わった」(駅周辺業者)という。

 同ホテル企画課の高橋直人氏は「今年10月の客室稼働率は、昨年の93.5%から、97.4%にまで伸びた」と、驚異的な実績を明かす。

 プリンスグループでは、17年に芝公園に最高級グレードの「東京プリンスホテル パークタワー」の開業を控える。都心のホテルでは珍しい天然温泉も掘削中である。

 プリンスホテルの石浜一洋取締役は、外資系の進出ラッシュも含め、業界活性化を歓迎する。

 「ホテルは1日で売り切る必要のある生鮮食品と同じ。東京の街に多くのホテルが集積し、シンガポールなどアジアの他都市に負けない魅力ある街をつくりたい」

ZAKZAK 2003/12/22

http://www.zakzak.co.jp/society/top/t-2003_12/1t2003122217.html