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自民・公明両党は十七日、二〇〇四年度の税制の枠組みとなる与党税制改正大綱を決定した。
大綱の一つの特徴は、個人向けの増税をいくつも盛り込んだことだ。
例えば、公的年金控除の縮小や老年者控除の廃止などで、年金を受給しているお年寄りへの課税が強化される。住宅ローン控除は段階的に縮小されるし、地方税である個人住民税も引き上げるという。所得税の定率減税は、来年度からの廃止こそ見送られたものの、見直す方針だ。
こんなに増税ばかり押し付けられると、国民はやりきれない思いがするのではないか。
国民に痛みを求めるなら、政府も自ら身を削り、歳出削減、行政改革の実を示すべきだ。さもなければ、国民の納得は得られまい。
年金財政との関連で、〇七年度をめどに消費税引き上げも示唆した。本気で引き上げるつもりなら、徹底した国民的論議が必要だ。
また、国と地方の税財政改革である三位一体改革に関連して、来年度税制の一つの焦点とされていた税源移譲では、一応の前進が見られた。国税である所得税の一部を人口に応じて地方に配分する「所得譲与税」を、創設するというのである。
税源移譲については、今年六月に決まった政府の方針では「基幹税を基本とする」とされていた。
三位一体改革は、明治以来の中央集権から地方分権に改めるための財政的措置だから、基幹税である所得、法人、消費税の移譲は当然の方針といえた。
ところが、「基幹三税はいずれも地域間の偏在が著しく、単純に移譲すれば、東京都の税収増が突出する」などの理由から、財務省は来年度はたばこ税の移譲で済ませようとした。政府税制調査会もその線に沿った答申を十五日に出した。
しかし、自民党税制調査会は地方側の要望を入れ、所得税の移譲を認めたのである。
ただ、この所得譲与税は妥協の産物で、限界はある。国税として徴収して地方に配るのだから、分権の趣旨に沿うとはいえない。苦肉の策だが、たばこ税の移譲よりは、まだよい。最終的には大綱にあるように所得税の一部を個人住民税に移す形で、本格的な税源移譲を実現すべきだ。
税制改正では、国会でも徹底した審議を尽くしてもらいたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20031218/col_____sha_____003.shtml