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2003年12月18日(木) 15時20分

50億円が香港経由でシンガポールに ヤミ金融事件朝日新聞

 山口組系暴力団五菱会(「2代目美尾組」に改称)系のヤミ金融事件で、ヤミ金融による不法収益を含む五十数億円が国外に持ち出され、香港経由でシンガポールの銀行に送金されていたことがわかった。税関への届け出はなく、警視庁などの合同捜査本部は届け出を義務づけた外国為替及び外国貿易法違反の疑いもあるとみて、海外の捜査当局の協力を得て資金流出の経緯を調べている。

 調べでは、ヤミ金融組織を統括していた元暴力団幹部の梶山進被告(54)=組織的犯罪処罰法違反などの罪で起訴=の側近だった複数の幹部が今年2〜7月、約27億円分の割引金融債を東京都内にある外資系銀行の東京支店に持ち込んだ。債券はこの銀行が換金した後、スイスに本店がある銀行の香港支店に送金された。幹部らの要請に従ったとみられる。

 これとは別に、ほぼ同じ時期に割引金融債二十数億円分が、何回かに分けて同じスイス系の銀行の香港支店に持ち込まれていた。ヤミ金融組織の幹部の指示で、何者かが日本から運んだとみられる。香港支店はこの債券を換金し、外資系銀行の東京支店から送金された約27億円と一緒に、同じスイス系銀行のシンガポール支店に送金したという。

 捜査本部は香港やシンガポールの捜査当局と連絡を取り、送金先の口座の名義人を調べる。

 外為法では、一度に100万円以上の現金や割引金融債を国外に持ち出す場合、税関への届け出が義務付けられている。また海外に3千万円を超えて送金する場合も、手続きをした銀行に報告書を提出しなければならない。だが、捜査本部がつかんでいるヤミ金融組織の関係者名での税関への届けはなかった。

 一方、その後の調べで梶山被告名義の口座が、スイスのチューリヒに本店のある銀行に存在することがわかり、スイスの検察当局が11月下旬、6100万スイスフラン(約51億円)に資金洗浄の疑いがあるとしてこの口座を凍結した。

 警視庁によると、外資系金融機関が多数ある香港やシンガポールは資金洗浄の拠点のひとつとして知られる。スイスの銀行は、顧客の秘密を徹底して守るとされる。捜査本部は、梶山被告がこうした点に着目して収益の隠匿や資金洗浄を図ったとみている。

(12/18 15:20)

http://www.asahi.com/national/update/1218/018.html