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チーム名や選手・職員の継承を条件に営業権譲渡の入札に応じることを決めたのは、楽天の22%法人株主で、興銀マンだった三木谷氏が脱サラして最初に興したコンサルティング会社「クリムゾングループ」。投資・コンサルティング業務を行い、三木谷氏の100%出資会社だ。
同社で神戸プロジェクトにもかかわる毛利寛取締役は「1〜2カ月前に球団から打診があったが、三木谷の地元でなければ受諾はあり得なかった。私たちは、もっと稼ぐ手段を知っていますから。ただ、三木谷は『地元支援として球団を残し、いい形になるなら手伝いたい』と検討してきた」と、舞台裏を明かす。
三木谷氏は昭和40年、著名な経済学者、三木谷良一氏(当時、神戸大教授)の3人兄弟の末っ子として神戸市に生まれた。中学からテニスを始め、明石高校ではプロを目指しながら、2年時、父から「県大会で優勝できなければ、あきらめて勉強しろ」と言われ、準優勝で受験の道に進んだというスポーツマン。
一橋大商学部卒業後の63年、日本興業銀行入行。難関の社内試験をクリアし、米ハーバード大学に留学、MBAを取得する。そこで、ベンチャーの旗手らと知り合い、彼らを尊ぶ気風に魅せられ、帰国。M&Aビジネスを手がけるなど、出世してきた。
だが、平成7年1月の阪神淡路大震災が人生観を変えた。親戚を亡くし、故郷の惨状を目に、「人の命は有限。人生における一番のリスクは、やり遂げたという達成感を味わうことなく死んでしまうことではないか」と大企業で出世の階段を登る人生を放棄し、同11月に退職、クリムゾンを設立した。クリムゾンとは深い緋色で、ハーバード大のスクールカラー。
そして、9年、クリムゾンで稼いだ資金を元手に「楽天」を創業。今やグループの年商98億円、経常利益22億円(14年12月期)に発展させた。ネット上の商店は1万軒を超え、数年内に売り上げ1兆円を目指す。
12年4月、楽天株をジャスダック市場に上場以来、本人も長者番付の常連となり、今秋も米経済誌フォーチュンが選んだ40歳以下の富豪ランクで20位(米国以外)。その推定資産総額は、ため息の5億7600万ドル(約620億円)だ。
さて、サッカービジネスの運営手腕は−。
一部では、チーム改革としてGM制を導入、ラグビー前日本代表監督で、神戸製鋼GMの平尾誠二氏(40)に就任要請するとも伝えられる。カズこと三浦知良(36)を抱える神戸の業績不振は、広告収入や観客の伸び悩み(1試合平均1万1200人弱=J1で12位)に比べ、選手年俸など「身の丈を知らない経営」(鈴木昌Jリーグチェアマン)が原因という。
前出の毛利氏は「いきなり(成功)は難しいでしょうが、三木谷の人脈からサッカーをビジネスとしてとらえることのできる有能な人材を投入したい」と話している。
ZAKZAK 2003/12/17