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[薬の販売緩和]「『安全』と『便利』の両立を目指せ」
医薬品の一部について、コンビニエンスストアなどでの販売が解禁されることになった。
いざという時、近くのコンビニで医薬品が購入できれば便利に違いない。時代に合わせて規制を見直すことは必要なことだ。
だが、「クスリはリスク」と言う。どんな医薬品にも副作用の危険はある。安全と便利さの両立を図るには、消費者自身が医薬品の危険性をよく知った上で、選択することが肝心だ。
医薬品には、医師が処方する医療用医薬品と、医師の処方箋(しょほうせん)なしでも薬局・薬店で買える大衆薬がある。政府は今年六月、大衆薬のうち、安全性に特に問題のないものは薬局・薬店以外でも販売できるようにするとの方針を決めていた。
それに基づき、厚生労働省の作業部会が今回、消化薬や整腸薬、うがい薬など約三百五十品目を選定した。
しかし、総合規制改革会議などが解禁を強く求めていた風邪薬や解熱剤などは除外されている。厚労省としては、便利さよりも安全重視の姿勢を強調したかったのだろう。
風邪薬や解熱剤などでも、まれに重い副作用を引き起こす場合がある。妊婦や乳幼児が安易に服用してはならないものもある。規制緩和に慎重な厚労省の対応も分からぬではない。
とはいえ、薬局・薬店での形骸(けいがい)化した販売実態をみる限り、安全重視といわれても、素直にはうなずけない。
薬事法では、薬局・薬店に薬剤師の常駐を義務付けている。客に医薬品の効果や副作用などの情報をきちんと伝えるためだが、「うちは万全」と胸を張れるところが、どれだけあるだろうか。
厚労省の調査では薬店の二割が薬剤師不在のまま営業していた。客も説明を求めずに買っていく。大衆薬には医療用医薬品と同じぐらい効き目が強いものもある。当然、副作用の危険性も高い。安全重視とは言い難い現実がある。
しかも、過疎地や離島などでは、薬剤師がいなくても一部の医薬品を販売できる。風邪薬や解熱剤などを扱う店も少なくない。都道府県の許可に基づく特例販売業といわれる制度だ。こちらは便利さを優先させた措置といえよう。
厚労省が安全重視を言うのであれば、薬剤師本来の役割を発揮するよう、薬局・薬店を強く指導すべきだ。特に、副作用の危険性が高い医薬品については、薬剤師の説明責任を明確にしてほしい。
同時に、便利さとの両立も忘れてはなるまい。今後も継続的に見直し、安全性に問題ない医薬品は薬局・薬店以外で迅速に販売できるよう努めるべきだ。