2003年12月16日(火) 13時14分
春秋(日経新聞)
受験生にとっては、これからが追い込みの季節。家族もいっしょに気を張って、クリスマスや冬休みもうかれ気分は少し控えめに……。そんな師走のさなかに、国立大学の先生たちが急きょ集まって、かなり厳しい表情で、お役所を批判する決議をしたという。
▼国立大学協会の会長と副会長が、それぞれ東大や一橋大の学長指名の返上まで口にして、反対しているのは、大学予算の減額。法人化する国立大学に、政府が支給する運営費交付金を、2005年度から機械的に一律減額する方針を、財務省が示したのが発端だ。
▼法人化すると、国から大学への運営費交付金は渡しきりとなり、使い道は各大学の裁量に委ねられる。そんな使い勝手の良さを歓迎して、問題点をいくつも指摘されている法人化案を、国大協は受け入れた。おおいに経営手腕を発揮して個性的な大学を、と思っていたら、なんと予算の大枠は毎年減るという。
▼使い勝手が良くなった上に、総額もふえる、なんておいしい話は、世間にはめったにない。そのへんを見抜けなかった大学人の甘さも少し気になる。もちろん、大学ごとに業績を評価した上で、資金の増減を決めるはずが、評価抜きの減額とは、禁じ手に近い。肝心の大学評価法も中身はお役所主導。改革とは官の権限拡大のことらしい。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031216MS3M1600T16122003.html