2003年12月16日(火) 00時00分
手術ミス?患者死亡 市立川崎病院手術経過について説明する秋月病院長(右)=川崎市役所で(朝日新聞・)
川崎市川崎区の市立川崎病院(秋月哲史病院長)は15日、急性心筋梗塞(こうそく)で入院していた同市内の70歳代の女性が、医療事故が原因と見られる出血などから心停止状態となり、14日に死亡したと発表した。病院は県警に届け出ており、県警は死因との因果関係を調べている。
病院によると、女性は11月30日に来院し、急性心筋梗塞と診断された。医師4人の医療チームが冠動脈の一部がふさがっているのを確認。血管を広げるため、カテーテルと呼ばれる細い管を右の大腿(だいたい)部から挿入し、小さな風船を血管内に入れて動脈を拡大した。
手術後、比較的安定した状態だったが、今月1日未明から早朝にかけて、吐き気、不整脈が多発し、心停止状態となった。その後蘇生したが、昏睡(こんすい)が続き、14日午後2時過ぎ、死亡した。死因については特定していない。
秋月病院長によると、カテーテルの操作で血管を損傷した可能性があり、後腹膜腔内で出血したのが確認された。出血で体内に循環する血液が減少したとみられる。カテーテルを扱ったのは、操作経験が12年あるベテランの心臓内科の専門医らで、「挿入する際、管に少し抵抗感を感じた」などと話しているという。
秋月病院長は15日の記者会見で、「深く、おわびします。なくなられた患者様に心からのご冥福をお祈りします」と陳謝した。同病院では院内に調査委員会を設け、原因の究明に努める。
川崎病院は15日も通常通り開業。1階の待合室では午後5時ごろ、約20人の患者や家族らが診察を待っていた。
不整脈と心筋梗塞の治療のために、月に1度川崎病院に通うという川崎市川崎区の主婦(60)は「カテーテルを使う診察や手術は100%安全ではないと思う。手術では、単純なミスが患者の命取りになることもあるのでは」と不安そうだった。
(12/16)
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news01.asp?kiji=4891
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